問い合わせformの個人情報はprivacy policyを増やす前に取得先と扱う人を棚卸しする
公開日: 執筆:佐藤
問い合わせformへprivacy policyのlinkを置くだけでは、個人情報の扱いは決まらない。名前、mail address、電話番号、相談内容を集めるなら、何を受け、どこへ届き、誰が読み、いつ消すかを先に確かめる。文章は、その実際の運用を読者へ伝えるために書く。
WordPressは3月1日の月例報告で、GDPRへの対応を進めるworking groupが設けられたことを案内した。EUのGeneral Data Protection Regulationは2018年5月25日から適用される。規則のArticle 13は、本人から個人データを集める場合に、controllerの身元と連絡先、利用目的などの情報を取得時に伝えることを定めている。自分のsiteが規則の対象になるかは、読者、事業、扱うdataの範囲によって確かめる必要があるが、formの実態を整理する作業はどのsiteにも役立つ。
取得項目と問い合わせ内容を分けて書き出す
最初に、formで受け取る項目を一つずつ書き出す。氏名、会社名、mail address、電話番号、住所、希望日、相談内容のように、入力欄ごとに分ける。次に、その項目が返信のために必要なのか、見積りのために必要なのか、後の営業連絡にも使うのかを確認する。
この区別をしないまま「お問い合わせに必要な情報を集めます」と書くと、必要でない項目まで増えやすい。たとえば、初回の質問へmailで返せば足りるなら、電話番号を必須にする理由は薄い。訪問の見積りに住所が必要なら、最初の連絡では地域だけを聞き、詳しい住所は日程が決まってから受ける方法もある。入力する人の負担と、受ける側が本当に必要とする情報を同時に減らせる。
相談内容の自由記入欄は、特に扱いを決めにくい。読者は、氏名や連絡先以外にも、家族、勤務先、健康、金額の事情を書くかもしれない。自由記入欄を置くなら、受けた内容がどこへ届き、誰が読むかを、定型の項目以上に意識する。不要に長い説明を求めず、最初に必要なことだけを書ける案内にする。
formの画面と送信後の経路をたどる
入力欄を決めたら、送信ボタンの後をたどる。formの設定によっては、内容が管理画面へ保存される。mailとして複数の宛先へ送られる場合もある。外部のform serviceへ渡る場合もある。読者には一つのformに見えても、受ける情報の経路は一つとは限らない。
確認のために、自分で一件送ってみる。送信画面に戻る案内、送信完了page、管理画面、受信用mail、転送先を順に見る。内容が何か所へ残るか、誰のmailboxに届くか、外部serviceのaccountを誰が管理しているかを書き留める。ここまで見ないと、privacy policyの文章と実際の保管場所がずれる。
たとえば、制作会社がformを設定し、事業者のmail addressへ届くようにしている場合を考える。制作会社の作業が終わっても、formの送信先、外部serviceのlogin、error通知の宛先を引き継がなければ、事業者は自分で確認できない。個人情報を扱う責任を、制作作業の中へ曖昧に残さない。どのaccountを誰が所有し、送信先を誰が変えられるかを決める。
読む人と保管期間を決める
届いた問い合わせは、全員が読める共有mailboxへ入れておけばよいとは限らない。返信を担当する人、見積りを作る人、記録を保管する人が異なるなら、それぞれが何を見られるかを決める。退職した人のmail addressへ転送が残っていないかも確認する。
保管についても、無期限に残すことを既定にしない。見積り中の問い合わせ、成約した顧客の記録、対応を終えた質問では、残す理由が異なる。まず、どの種類の情報を、どの仕事のために残すのかを分ける。次に、不要になった情報をどこから消すかを決める。管理画面の保存、mailbox、表計算file、外部serviceの一覧を別々に見る。
小さな事業では、一人が全てを扱うこともある。その場合でも、本人しか分からないmailboxへだけ情報を置くと、病気や引き継ぎのときに対応が止まる。共有する範囲を広げすぎず、必要な人が必要な期間だけ確認できる場所を作る。作業を外へ頼む場合は、不要になったtest送信や古いexport fileを誰が消すかも確認する。
privacy policyは実際の説明として書く
棚卸しが済んでから、privacy policyとformの近くに置く案内を書く。読者が知りたいのは、難しい用語ではなく、誰が何のために受け、どのように連絡するかである。事業者の名前と連絡先、取得する情報、問い合わせへの返答に使うこと、必要に応じて外部serviceを使うことを、実際の運用に合わせて示す。
文章は、他のsiteからそのまま写さない。そこに「第三者へ提供しない」と書いてあっても、自分のformが外部serviceへ送信し、複数の委託先が読めるなら、同じ内容にはならない。反対に、難しい条項を増やしても、送信先が古いままなら読者を守れない。先に経路を直し、後から文章を合わせる。
formの近くでは、linkだけを小さく置いて終わらせない。入力する人が、何のために送るのか、返信がどこから来るのかを判断できるようにする。広告の登録やmail magazineの配信に使いたいなら、問い合わせへの返信と同じ扱いにせず、別に選べるようにする。問い合わせを送った人が、後から意図しない連絡を受ければ、信頼を失う。
公開前に確認する順序
formを公開または直すときは、まず入力欄と必須項目を確認する。次に、一件送信して保管場所と通知先をたどる。その後、読める人と不要になったときに消す人を決める。最後に、privacy policyとformの案内を実際の経路に合わせる。
この順序なら、法律用語を先に並べずに済む。siteの対象や契約関係によって専門家への確認が必要な場合も、何を確認してもらうべきかが明確になる。問い合わせformは単なる入力欄ではない。読者が信頼して渡した情報を、事業者が受け取って扱う入口である。文章と設定を分けず、受け方から整える。
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