• ホームページ制作会社へ依頼する前に聞く12の質問で依頼先を判断する

ホームページ制作会社へ依頼する前に聞く12の質問で依頼先を判断する

公開日: 執筆:佐藤

制作会社へ聞く12の質問は、「できます」という回答を集めるためのチェックリストではありません。回答を制作範囲、役割、完成条件、公開後の条件として書面へ反映できるかを確かめるための質問です。

口頭では同じ「対応できます」でも、見積もりに含まれる範囲や追加費用の条件は異なります。反対に、「今回は含まない」「現時点では決められない」という回答でも、対象外の範囲や決める時期が明らかなら、契約するか判断できます。

以下の12問を、提案、進行、検収、公開後という四つの判断に分けます。各社へ同じ依頼概要を渡し、回答を同じ欄へ記録してください。

質問の前に、同じ依頼概要を渡す

質問だけをそろえても、各社へ伝える条件が違えば、回答は比べられません。最初に、次の内容を一枚へまとめます。

  • ホームページの目的
  • 主に伝えたい相手と、公開後に期待する行動
  • 掲載したい内容と、必要だと考えている機能
  • 原稿、写真、ロゴなどの準備状況
  • 希望する公開時期
  • 社内で内容を確認し、決定する人
  • まだ決めていないこと

完全な仕様書を作る必要はありません。「決定済み」「提案してほしい」「今回は対象外」の三つに分ければ、制作会社は提案の前提を確認できます。

判断1 提案の対象を決められるか

最初の三問では、何を作るかより先に、何のために作り、どこまでを今回の依頼へ含めるかを確かめます。

質問1 こちらの目的を、どのように理解しましたか

依頼概要を、制作会社の言葉で説明してもらいます。聞くのは、流行の機能や表現ではありません。誰へ何を伝え、どの行動につなげる計画として理解したかです。

説明が依頼者の意図と違うなら、提案を受け取る前に直せます。目的を共有できなければ、必要なページも、削ってよい作業も決められません。

質問2 目的のために、何を作り、どこまで作業しますか

ページや機能だけでなく、企画、原稿、写真、画面設計、制作、確認、公開作業のうち、制作会社が受け持つ範囲を聞きます。成果物と作業を分けるのが要点です。

たとえば、「会社案内ページを作る」は成果物の説明です。掲載内容を依頼者が完成原稿で渡すのか、制作会社が聞き取りから文章を作るのかで、作業範囲は変わります。

質問3 含まれない作業と、まだ決まっていない前提は何ですか

対象外と未確定を、別々に答えてもらいます。対象外は、今回の契約では行わないことです。未確定は、担当、内容、時期などを後で決める必要があることです。

独立行政法人情報処理推進機構の『ソフトウェア開発見積りガイドブック』は、利用者側と開発者側で、見積もりの対象となる成果物と活動、その担当を共有するよう示しています。また、決まっていない部分と、それを決める時期、決まった後の対処を共有する考え方も示しています。

同資料が扱うのは、システムとソフトウェアの開発です。一般的な会社ホームページの契約基準ではありません。ここでは、対象、担当、未確定事項を分ける考え方だけを参考にしています。

この三問への回答は、「含む」「含まない」「未確定」の三欄へ書きます。どの欄にも入らない「一式」は、範囲を判断できる回答になるまで確認します。

判断2 依頼者を含めた進行を決められるか

予定表だけでは、ホームページが完成するかを判断できません。依頼者が渡すもの、決める人、変更時の手続きまでを含めて進行を確かめます。

質問4 依頼者が用意し、決めるものは何で、期限はいつですか

原稿、写真、会社情報、確認の返事など、依頼者側の作業を聞きます。各作業には、担当者と期限を付けます。

「原稿は自社で用意する」だけでは、制作会社が着手できる状態か分かりません。誰が書き、誰が確認し、いつ渡すかまで決めて、初めて予定へ組み込めます。

質問5 各段階で、誰が確認し、誰が最終決定しますか

窓口と決定者を分けます。連絡を受ける人が、デザイン、文章、追加費用のすべてを決められるとは限りません。

構成、画面案、掲載内容、公開の各段階で、制作会社側と依頼者側の担当者を決めます。決定期限も予定へ入れます。確認する人が増える場合は、意見を誰がまとめるかも決めておきます。

質問6 内容が変わったとき、どこから追加・変更として扱いますか

修正回数だけでなく、変更の基準、連絡窓口、承認者、費用と日程への影響を確認します。

同じ文言の訂正と、承認後のページ追加では、戻る作業が違います。変更を申し出た時点で作業を始めるのか、影響と追加見積もりを双方が確認してから始めるのかも、先に決めます。

『ソフトウェア開発見積りガイドブック』は、変更の基点、変更として扱う条件、双方の窓口と最終承認者、変更時期による費用への影響を合意する考え方を示しています。これをホームページ制作へそのまま義務として当てはめるのではなく、変更を口約束で処理しないための整理に使います。

この三問への回答から、依頼者側の作業、確認の節目、変更の手続きを予定表や別紙へ反映します。制作会社の作業だけが書かれた予定表では、依頼者側の作業によって生じる待ち時間を判断できません。

判断3 何をもって完成とするか決められるか

三つ目の判断は、納品と完成を分けることです。データを受け取った日、ホームページを公開した日、依頼者が確認を終えた日は、同じとは限りません。

質問7 何を、どの形式と利用条件で受け取れますか

公開されるページだけでなく、文章、写真、画像、制作に使ったデータなど、受け取るものを確認します。第三者が権利を持つ素材を使う場合は、利用できる範囲と期間、制作会社を変更した後も使えるかを聞きます。

文化庁の『誰でもできる著作権契約マニュアル』は、著作物の制作を依頼する契約について、納品の時期と方法、納品物の検査、権利の帰属と利用方法を具体的に定める考え方を示しています。同資料は、報酬を支払っただけで著作権を取得することにはならないとも説明しています。

ホームページには、文章、写真、イラスト、プログラムなど、条件の異なるものが含まれます。すべてを同じ扱いだと推測せず、納品されるものと利用条件を個別に確認します。

質問8 公開前に、何を、どの条件で試験しますか

リンク、入力と送信、指定した閲覧環境での表示など、試験する対象と条件を聞きます。誰が試験し、結果をどのように示すかも確認します。

「動作確認一式」では、目的に必要な確認が含まれるか分かりません。問い合わせを受けることが目的なら、入力画面が表示されるだけでなく、送信から受信までをどの条件で確かめるかを決めます。

質問9 依頼者は何を、いつまでに確認し、何をもって完了としますか

制作会社の試験と、依頼者の検収を分けます。ここでいう検収とは、納品されたものが、合意した内容と完成条件を満たすかを依頼者が確かめることです。

『電子政府ユーザビリティガイドライン』は、発注者が試験計画と試験結果を確認し、受入テストを行う手順を示しています。対象は各府省のオンライン申請システムであり、民間の会社ホームページを拘束する基準ではありません。ここでは、制作側の試験だけで完了とせず、発注側も計画、結果、完成を確認するという役割分担だけを参考にしています。

確認する内容、確認期間、問題が見つかったときの連絡方法と対応範囲を、納品条件へ反映します。「公開したら完成」とだけ決めると、公開後に見つかった問題を、当初作業と追加作業のどちらで扱うか判断できません。

判断4 公開後も続け、必要なら引き継げるか

最後の三問では、公開後の作業と、契約を終える場合の条件を確かめます。制作を委託することと、事業者が継続や変更を判断できる状態を失うことは別です。

質問10 ドメインとサーバーは誰が契約し、誰が変更を承認できますか

契約者、支払担当、日常の作業担当、変更や解約の承認者を分けて聞きます。制作会社が契約と作業をまとめて扱う場合は、別の担当者へ移すときの条件も確認します。

自社契約か制作会社契約かを一律に決める質問ではありません。どちらを選んでも、契約関係と判断経路を把握できるかを見る質問です。詳しい分け方は、「ドメインとサーバーは誰が管理するべきか」で扱います。

質問11 公開後の更新と保守は、誰がどこまで行いますか

掲載内容の更新、バックアップ、障害時の連絡などを分けて、依頼者と制作会社の担当を決めます。依頼方法、対応する範囲、別の費用が生じる条件も聞きます。

制作会社が画面を更新しても、会社情報の正しさや公開の可否まで判断できるとは限りません。情報を確認する人、画面を更新する人、公開を決める人の分け方は、「ホームページの更新は誰が担当する?」で扱います。

質問12 契約を終えるとき、何を、どの手順・費用・期間で引き継げますか

サイトのデータ、契約に関する情報、更新に必要な資料、移行のための作業を分けて聞きます。何を受け取れるかだけでなく、誰が準備し、いつまでに、どの費用で渡すかを確認します。

終了条件を先に聞くことは、契約を疑うことではありません。担当者の変更や事業方針の変更があっても、公開を続ける方法を選べるか確かめる作業です。

この三問への回答は、公開後の契約、作業範囲、終了時の手続きへ反映します。日常作業を外部へ任せる場合も、継続、変更、終了を判断する人は決めておきます。

12の回答を、四つの契約判断へまとめる

書面の名称は、制作会社や契約内容によって異なります。「提案書」という名称があるかではなく、判断に必要な内容がどこへ記録されるかを確かめます。

判断 対応する質問 主に反映する内容 契約前に保留する状態
提案の対象を決める 1〜3 目的、成果物、作業範囲、対象外、未確定の前提 「一式」の範囲を説明できない
進行を決める 4〜6 依頼者の作業、確認者、決定者、変更手続き 担当、期限、追加扱いの基準が決まらない
完成を決める 7〜9 納品物、利用条件、試験、検収、問題発見時の対応 何をもって完成とするか決まらない
公開後を決める 10〜12 契約と権限、更新、保守、終了、引き継ぎ 継続または引き継ぎの方法を判断できない

不明な回答が一つあるだけで、その会社を候補から外す必要はありません。未確定事項を誰が、いつ、どの手順で決めるかが書ければ、判断できます。保留すべきなのは、費用、日程、完成、引き継ぎに影響する項目が曖昧なまま、契約を急ぐ場合です。

回答の良し悪しは、条件を書けるかで比べる

次は、質問6への仮の回答です。実在する制作会社や契約の例ではありません。

修正には対応します。大きな変更は、別途見積もりです。

この回答では、どこからが大きな変更か、誰が判断するか、追加作業をいつ始めるかが分かりません。次のように条件を分ければ、依頼者は判断できます。

構成案の承認後に追加されたページは、変更として扱います。着手前に、費用と日程への影響を提示します。双方の担当者が内容を確認した後に、追加作業を始めます。

後者が、価格や制作の質まで保証するわけではありません。分かるのは、変更条件を比較できることです。前者の回答も、基準、承認者、手順を質問して書面へ足せば、判断材料になります。

各社の回答を記録する表には、「質問」「回答」「書面の反映先」「自社の担当」「未確定事項」「契約前の判断」という六つの列を作ります。同じ12問を同じ順序で聞き、回答を四つの判断へまとめてください。

選ぶ基準は、返事の速さや「できます」の数ではありません。目的に必要な範囲を示し、依頼者側の責任も含め、未確定事項を契約前の条件へ変えられるかです。

この記事は、契約書のひな形や、個別契約の法的な結論を示すものではありません。制作内容、使用する素材、契約形態によって必要な条項は異なります。実際の契約書と権利関係は、当事者間で確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

戻る