• Universal AnalyticsのEnhanced Ecommerceは商品詳細、カート、決済、購入を段階別に設計する

Universal AnalyticsのEnhanced Ecommerceは商品詳細、カート、決済、購入を段階別に設計する

公開日: 執筆:佐藤

Universal AnalyticsのEnhanced Ecommerceを導入するなら、購入完了の計測コードから書き始めず、商品詳細表示、カート投入、決済、購入を別々の段階として定義します。各段階で「利用者が何をしたら成立か」「どの商品と注文を識別するか」「どのシステムの結果を送るか」を先に決めます。

段階を分ける目的は、数字を増やすことではありません。商品は見られているがカートへ入らないのか、カートへ入るが決済へ進まないのか、決済を始めても購入が成立しないのかを区別するためです。

Enhanced Ecommerceは購入前の行動も計測対象にする

Google Analyticsの2014年5月28日の公式発表は、Enhanced Ecommerceのbetaを発表し、商品詳細表示、カート投入、サイト内キャンペーンのクリック、決済過程、購入を計測対象に挙げています。

従来のeコマース計測は、成立した取引と商品を送ることが中心です。Enhanced Ecommerceでは、その購入に至る前の買い物行動も段階として扱います。5月30日の公式解説は、商品がどこまで見られ、カートへ入り、決済過程のどこまで進み、どこで離れたかを調べられると説明しています。

Enhanced EcommerceはUniversal Analyticsを基盤とします。既存のClassic Analytics用eコマースコードへ、名前だけを変えて継ぎ足す作業ではありません。利用しているProperty、計測コード、注文処理を確認してから実装範囲を決めます。

四つの段階は成立条件を一つずつ決める

次の表は、計測設計を整理するための例です。特定の店舗システムの仕様や、Google Analyticsの管理画面名を示すものではありません。

段階 成立とする操作 計測前に確認すること 分かる差
商品詳細表示 商品を識別できる詳細内容が表示された 商品ID、商品名、表示元 見られた商品と、次へ進まない商品
カート投入 カート側で商品追加が完了した 商品ID、数量、追加成功 見た商品と、カートへ入れた商品
決済 定義した決済段階へ進んだ 段階名、順序、選択肢 決済を始めた場所と離れた場所
購入 注文システムが注文成立を確定した 注文ID、商品、数量、金額 決済開始と成立注文

ボタンを押した瞬間と、処理が成功した瞬間は同じではありません。カート追加の要求が失敗したのに、クリックだけをカート投入として送れば、Google Analyticsのカート件数と店舗のカート状態が合わなくなります。購入も、確認画面の表示ではなく、注文システムが成立と判断する地点へ対応させます。

商品の識別子は全段階で変えない

商品詳細表示では商品名、カートでは内部番号、購入では別の商品コードを使うと、同じ商品を一つの流れとして追えません。商品を結ぶ識別子を一つ決め、表示、カート、決済、購入で同じ値を使います。

商品名やカテゴリは、運用中に変わることがあります。表示用の名称だけを結合の基準にせず、店舗側が継続して保持する商品IDを基準にします。商品IDを変更する必要がある場合は、変更日と旧IDとの対応を残します。

購入では、注文を識別する値も必要です。完了画面を再読み込みした場合や、決済サービスから戻った場合に、同じ注文を新しい購入として扱わないよう、注文システム側の成立記録と照合します。計測コードだけへ重複防止の責任を負わせません。

決済過程は画面数ではなく業務上の段階で分ける

一つの画面で住所、配送、支払方法を順に入力する店舗もあれば、画面を分ける店舗もあります。決済段階をURLの数だけで決めると、画面構成を変更しただけで比較できなくなります。

先に、利用者が完了すべき業務上の段階を決めます。説明用の仮例なら、次のように分けられます。

  1. 送付先を確定する。
  2. 配送方法を確定する。
  3. 支払方法を確定する。
  4. 注文内容を確認し、注文を送る。

実際の段階名と順序は、店舗の注文手順へ合わせます。入力画面を開いただけか、入力を通過したかも統一してください。開始と完了を混ぜると、どこで離れたかを正確に区別できません。

計測表には発火条件と正本を並べる

実装前に、四段階を一枚の表へまとめます。

記録項目 内容
段階名 商品詳細表示、カート投入、決済の各段階、購入
発火条件 どの処理が成功したら送るか
商品識別子 店舗内で継続して使う商品ID
注文識別子 成立した一注文を区別する値
値の取得元 商品データ、カート、注文データベースなど
正本 不一致時にどのシステムの記録を採用するか
担当 店舗側、制作側、分析側の確認者

Google Analyticsは買い物行動を分析する手段であり、注文台帳ではありません。売上、取消、返金、在庫の正本は店舗側のシステムに残します。分析作業を委託しても、商品ID、注文成立条件、金額の定義、計測Propertyへのアクセスは、事業者が確認できる状態にします。

beta機能は一つの流れを通してから広げる

Enhanced Ecommerceはbetaとして提供されています。全商品と全決済方法を一度に実装せず、説明用商品または試験注文で、商品詳細表示、カート投入、決済、購入を一つずつ通します。

確認するのは、タグが動いたという表示だけではありません。店舗側の商品ID、カート内容、注文ID、数量、金額と、Google Analyticsへ送る値を段階ごとに照合します。計測に失敗しても注文処理を止めないよう、店舗の処理と分析用の送信を分けます。

最初の一手は、実際の購入手順を四段階へ書き出すことです。各段階の成立条件とデータの取得元を決めてから、必要な計測コードへ落とし込んでください。

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