• ホームページの予算は「作る費用」と「続ける費用」に分けて決める

ホームページの予算は「作る費用」と「続ける費用」に分けて決める

公開日: 執筆:佐藤

ホームページの予算は、公開までに作る費用と、公開後も続ける費用に分けて決めます。そのうえで、制作会社の見積書に含まれる作業、依頼者が受け持つ作業、追加費用が生じる条件をそろえて比べます。

総額だけを先に比べても、自社に必要な予算は決まりません。同じ「ホームページ制作一式」でも、原稿作成、写真の加工、動作確認、公開後の更新など、含まれる作業が違えば、総額が表す範囲も違うからです。

この記事では、料金相場や適正価格を示しません。金額は、制作する内容、依頼する作業、契約条件によって変わります。ここで決めるのは、見積もりを依頼する前の予算の枠組みです。

予算と見積もりを分けて考える

この記事では、予算を「事業者が何へ費用と社内の作業時間を配分するかという計画」、見積もりを「制作会社が一定の条件で行う作業と金額の提示」として分けます。

予算が先にあっても、依頼する範囲が曖昧なら、見積もりの前提はそろいません。反対に、見積書が届いても、目的に必要な作業が分からなければ、削ってよい項目を判断できません。

最初に、ホームページで優先する目的を一つ決めます。紹介を受けた人へ会社情報を示すのか、新しい相談を受けるのか、採用の情報を届けるのか。目的を決めたあとで、公開時に必要な情報と機能を選びます。

予算額からページを減らすのではなく、目的に必要な情報から作業を選ぶ順序です。

一枚の表を、公開前と公開後に分ける

予算表には、金額を書く前に作業を並べます。次の分類は、漏れを探すための例です。すべてを制作会社へ依頼するという意味ではありません。

区分 作業の例 先に決めること
作る費用 目的と掲載内容の整理、ページ構成、原稿と写真の準備、画面の設計、制作、動作確認、公開作業 誰が作業し、誰が内容を承認するか
続ける費用 ドメインとサーバーの契約更新、情報の更新、保守、バックアップ、障害時の対応、公開後の見直し 社内で続ける作業と、外部へ依頼する作業

社内で行う作業も、表から消しません。原稿を社内で用意するなら、原稿を書く人、確認する人、制作会社へ渡す期限を記録します。費用の請求がないことと、作業が発生しないことは別です。

継続する契約や作業には、支払う時期も書きます。毎月、毎年、必要が生じたときなど、条件を分けておけば、公開時の支払いだけをホームページの総予算と取り違えません。

見積もりの対象範囲を、依頼者と制作会社でそろえる

独立行政法人情報処理推進機構の『ソフトウェア開発見積りガイドブック』は、見積もりの最初に、対象とする成果物と作業の範囲を利用者側と開発者側で共有するよう示しています。同資料は、システムの初期費用と運用費用を分け、調査・企画、設計・開発、移行、運用、保守などの担当と責任を明確にする考え方も示しています。

この資料が扱うのは、システムとソフトウェアの開発です。一般的な会社ホームページの料金相場を示す資料ではありません。ここでは、見積もりの対象範囲と責任を双方でそろえる考え方だけを、制作作業を整理する参考にしています。

ホームページの見積書でも、作業名だけでなく、始点と終点を確かめます。「原稿作成」なら、取材から文章を作るのか、支給された原稿を画面へ入れるだけなのか。「公開作業」なら、サーバーへの設置までか、フォームの送受信確認までか。作業名が同じでも、範囲は同じとは限りません。

二つの見積書は、条件をそろえてから比べる

次は、比較方法を示すための仮例です。実在する制作会社の見積書ではありません。

比較する条件 見積書A 見積書B
原稿 聞き取りと文章作成を含む 完成原稿を依頼者が支給する
写真 支給写真の選定と加工を含む 掲載できる状態で依頼者が支給する
確認 指定した画面とフォームを確認する 「動作確認一式」とだけ記載されている
公開後 更新作業は別途見積もり 一定範囲の更新を含むが、期間は未記載

この二つは、同じ総額であっても同じ条件ではありません。Aには原稿と写真の作業が含まれ、Bでは依頼者の作業です。Bの動作確認と公開後の更新は、範囲と期間が分からないため、比較前に確認が必要です。

見積書を比べる表には、少なくとも次の列を設けます。

  • 成果物と作業範囲
  • 依頼者が用意するもの
  • 内容を確認し、公開を承認する人
  • 修正に含まれる範囲と、追加費用が生じる条件
  • 動作確認と公開作業の範囲
  • 公開後の契約、保守、更新の期間と範囲
  • 契約名義、受け取るデータ、管理に必要な情報

金額を比べるときは、税の扱いと対象期間もそろえます。条件が違う項目は、どちらかへ合わせるか、違いを残したまま理由を書きます。

予算を超えたら、値引きより先に範囲を直す

見積額が予算を超えたとき、全項目を少しずつ削ると、公開に必要な確認まで薄くなるおそれがあります。先に、作業を三つに分けます。

公開時に必要なのは、目的を果たすための情報と連絡手段、公開内容の正確さ、利用する文章や写真の権利確認、必要な表示、動作確認です。公開後でもよいページや機能は、後の予算へ移せます。目的に寄与せず、運用する担当もいない機能は、今回の対象から外します。

作業を社内へ移す場合は、担当者と期限を同時に決めます。「自社で対応」と書くだけでは、その作業が終わる保証になりません。社内で受け持てない作業は、項目から消さず、依頼範囲か未解決事項として残します。

予算の上限が先に決まっている場合は、上限を伝えたうえで、実施できる範囲と除外する範囲を分けた提案を依頼します。安く見せるために項目を曖昧にするのではなく、何を今作り、何を後へ回すかを明らかにします。

まず、白紙を「作る費用」と「続ける費用」に分けてください。各作業の横へ、担当者、実施時期、見積もりに含むか、追加費用が生じる条件を書きます。同じ表を制作会社へ渡せば、総額ではなく、同じ範囲と責任で見積もりを比較できます。

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