Google Data Studioはreportを作る前に数字の定義と見る人を決める
公開日: 執筆:佐藤
Google Data Studioでreportを作る前に、誰が、どの数字を見て、何を判断するかを決めます。複数のdata sourceを一枚のreportへ並べると、見やすいchartは作れます。しかし、session、問い合わせ、広告費の定義や更新時刻が違うまま並べても、判断に使える数字にはなりません。
reportは、数字をきれいに見せる画面ではありません。担当者が、次に何を続け、何を止め、どこを調べるかを決めるための材料です。広告費のchartと問い合わせ数のchartが一枚に並んでいても、両者の期間や集計範囲が違えば、費用を増やすか減らすかは決められません。見た目を整える前に、数字が答える問いを一つずつ決めます。
Googleの公式案内は、Google Data Studioを、marketing dataへ接続し、共有できるcustomizable reportを作るためのtoolとして案内しています。複数のdata connectorを使い、一つのreportでdata sourceを組み合わせられます。reportは組織内だけでなく共有できるため、作る人だけが数字の意味を知っている状態を避ける必要があります。
chartの前に数字の意味をそろえる
同じ「問い合わせ数」でも、formの送信完了数、営業が有効と判断した件数、受注数では意味が違います。Data Studioへ表示する前に、数字ごとに定義を一行で書きます。誰が見ても同じ数字を思い浮かべられない項目は、まだ一つの指標としてreportへ置きません。
| 数字 | 定義の例 | 確認する担当 |
|---|---|---|
| session | Google Analyticsで記録した訪問の数 | site運用担当 |
| 問い合わせ送信 | 完了pageの表示または送信eventの数 | form管理担当 |
| 有効な問い合わせ | 対応できる内容として確認した件数 | 受付担当 |
| 広告費 | 対象期間に広告accountで計上された費用 | 広告運用担当 |
sessionと問い合わせ送信を同じreportに出すことはできますが、同じ種類の数字ではありません。有効な問い合わせはAnalyticsだけで判定できない場合があります。数字をどのtoolから取り、誰が確かめ、いつ更新するかを添えます。
たとえば、月の広告費と月の問い合わせ送信を比べるなら、広告費はどのaccountのどのcampaignを含むか、問い合わせはどのformの送信を数えるかを決めます。電話、mail、店頭で受けた連絡を問い合わせへ含めるなら、その件数をどこで記録するかも必要です。Google Analyticsの数だけで「問い合わせ全体」と書くと、記録されない連絡を含むように読まれるおそれがあります。
数字の名前は、短くても構いません。ただし、報告する人の頭の中だけに定義を置かないことです。「CV」「成果」「反応」のような言葉は便利ですが、受け取る人ごとに指す範囲が変わります。reportの近くに定義を置くか、共通のメモへlinkして、見る人が同じ説明へ戻れるようにします。
data sourceを混ぜる前に期間と単位を確認する
Data Studioのconnectorを追加すると、Google Analytics、広告、spreadsheetなどのdataを同じreportへ表示できます。ここで重要なのは、sourceをつなぐことと、source同士を単純に足せることは別だという点です。connectorが接続できたことは、比較条件がそろったことを示しません。
たとえば、広告費は月単位、問い合わせは営業日単位、siteのsessionは日単位で確認している場合があります。月次reportへまとめるなら、集計する期間とtimezoneをそろえます。別のdata sourceで同じ名称の「conversion」が出ても、計測条件が違うなら一つの合計にしません。
期間をそろえるときは、表示する日付だけでは足りません。月初から月末までのdataか、営業日だけを集めたdataか、前月と比較するのか、前年同月と比較するのかを決めます。比較する二つの数字が同じ範囲を示していなければ、増減の理由を説明できません。reportに前月比を出すなら、途中で定義や計測方法が変わっていないかも確認します。
また、広告費と訪問数の関係を見るときは、費用をかけた媒体だけの訪問か、site全体の訪問かを分けます。site全体のsessionが増えたからといって、広告だけが理由とは限りません。検索、紹介、メール、直接の訪問など、別の経路が含まれます。数字を一枚に置くことはできますが、因果関係まで一つのchartで決めることはできません。
最初のreportは一つの判断へ絞る
最初から全体を見渡すdashboardを作ろうとすると、必要な数字が際限なく増えます。まず、毎月の広告費と問い合わせ送信を同じ条件で確認する、あるいは問い合わせが減ったlanding pageを探す、といった一つの判断へ絞ります。その判断に不要なchartは、最初のreportには置きません。
reportを見る人が経営者なら、広告管理画面の細かな設定値より、費用、問い合わせ、期間、次に確認するpageが必要かもしれません。広告を日々調整する担当者なら、検索語、広告group、クリック、費用のように、別の粒度の数字が必要です。同じreportを全員に見せることと、全員が同じ画面で判断することは違います。見る人ごとに判断が違うなら、reportも分けます。
- reportを見る人を決める。
- その人が次に決めることを一つ書く。
- 判断に必要な数字を三つまで選ぶ。
- 数字ごとにdata source、期間、更新時刻、定義、確認担当を記録する。
- reportへchartを置き、元のtoolと数字が一致するか確認する。
- 数字の変更やconnectorの変更を記録する。
- reportを見たあとに取る行動を、一つの文章で残す。
reportの共有と編集権限を分ける
reportを共有できることは、誰でもdata sourceを編集してよいという意味ではありません。閲覧する人、chartを直す人、connectorを変更する人、元dataを修正する人を分けます。特に広告費や問い合わせ情報を含むreportでは、表示範囲と編集権限を確認します。
所有する人と作る人も分けて考えます。外部の運用者がreportを作っても、担当変更後にsite側がreport、connector、元dataの所在を確認できなければ、継続して使えません。accountの名義、共有先、connectorが読めるdata、削除や変更をする人を整理します。作業を任せることと、数字を読む権限まで手放すことは別です。
reportの共有先を増やす場合は、閲覧する人が必要な判断をできる範囲だけを見せます。問い合わせ内容のように個別の情報を含むdataと、月ごとの件数だけを示すreportは、同じ共有範囲にする必要がありません。誰へ何を見せるかを決めずに共有linkを渡すと、あとから数字の意味と公開範囲の両方を直すことになります。
外部の運用者がData Studioを作る場合も、reportの所有者、data connectorの接続先、担当変更時の引継ぎ方法をsite側で把握します。見た目のreportを納品しても、元dataを見られず定義も分からないなら、次の判断には使えません。まず一つのreportで、数字の意味と出所を共有できる状態を作ります。chartを増やすのは、そのreportを見てから新しい判断が必要になったときです。
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