ホームページの保守とは何をする?月額料金より先に決める範囲
公開日: 執筆:佐藤
ホームページの保守は、決まった一種類の商品ではありません。定期的に行う作業、依頼のたびに行う変更、問題が起きたときの対応、契約や認証情報の管理を分け、対象、担当、期限、別料金になる条件を決めます。
「保守込み」という名称と月額料金だけでは、必要な作業を任せられるか判断できません。まず、自社サイトを続けるための作業を書き出し、契約に含まれるものと含まれないものを照合してください。
保守と更新を、同じ言葉でまとめない
会社ホームページで「更新」と呼ばれる作業には、少なくとも二種類あります。
一つは、会社情報、営業日、商品案内、記事など、掲載内容を変える作業です。もう一つは、WordPress本体、テーマ、プラグインなど、サイトを動かす仕組みを更新する作業です。
前者では、情報の正しさと公開の承認が必要です。後者では、バックアップ、動作確認、失敗時の復旧が必要です。同じ担当者が行う場合も、依頼方法と完成条件は分けます。
| 作業 | 依頼者が決めること | 技術担当者が確かめること |
|---|---|---|
| 掲載内容の変更 | 内容、公開日、承認者 | 表示、リンク、入力機能への影響 |
| WordPressなどの更新 | 作業日、止められる時間 | 保存、互換性、更新後の動作、復旧 |
| 障害への対応 | 事業への影響、連絡の優先順位 | 原因、応急処置、復旧方法 |
| 契約や担当の変更 | 継続、変更、終了の判断 | データ、認証情報、手順の引き継ぎ |
「月に一回更新」という回答では、内容の変更か、仕組みの更新か分かりません。何を一回行い、何をもって完了とするかを確認します。
定期作業は、回数より確認結果を決める
定期保守では、作業名だけでなく、確認する対象と記録を決めます。
WordPressを使うサイトなら、バックアップと更新は別の作業です。5月のWordPress Codexのバックアップ資料は、データベースとサイトのファイルを分け、定期的および更新前に保存する考え方を示しています。
同じく5月の更新手順は、更新前のデータベース保存とプラグイン停止、更新に問題が起きた場合の復元を案内しています。
したがって、「バックアップあり」「更新対応」という二つの名称だけでは足りません。次のように、確認結果まで書きます。
- バックアップ:対象、保存間隔、保存先、保存結果を確認する人
- 更新:対象、実施判断、作業時間、更新後に試すページと機能
- 復旧:戻すデータ、作業する人、復旧へ切り替える条件
回数は、そのあとで決めます。掲載内容の変更頻度、失ってよい期間、サイト停止の影響が違えば、必要な間隔も変わります。
依頼による変更は、保守料金の内外を分ける
文章の差し替え、写真の追加、新しいページの制作、フォーム項目の変更は、同じ「修正」でも作業量と確認範囲が違います。
契約前に、次の三欄へ分けます。
| 区分 | 意味 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 含む | 定額または契約範囲内で行う | 対象作業、量、依頼方法、完了までの目安 |
| 含まない | 別の依頼として扱う | 対象外の作業、見積もりが必要になる条件 |
| 未確定 | 条件を見て判断する | 誰が、いつ、何を基準に決めるか |
独立行政法人情報処理推進機構の『ソフトウェア開発見積りガイドブック』は、見積もりの対象となる成果物と活動、その担当、未確定事項を利用者側と開発者側で共有する考え方を示しています。同資料は、ホームページ保守の料金表や契約基準ではありません。ここでは、作業範囲と担当を「一式」のままにしないための整理に限って使います。
「軽微な修正は含む」と書くなら、軽微かどうかを判断する条件も必要です。文字数だけでなく、ページ数、画像加工、確認回数、ほかの機能への影響を見ます。
障害対応は、連絡と復旧を分ける
「二十四時間対応」と書かれていても、連絡を受け付ける時間、調査を始める時間、サイトを戻す時間は同じとは限りません。ここでは特定の時間を推奨せず、次の出来事を分けて確認します。
- 依頼者が異常を見つけ、どこへ連絡するか
- 保守担当者が連絡を受けたことを、いつ返すか
- 調査を、いつ始めるか
- 応急処置、復旧、恒久的な修正のどこまで含むか
- サーバー会社など、別の事業者へ連絡するのは誰か
障害の原因が保守担当者の作業範囲外にある場合もあります。原因を確認する作業、別事業者への連絡、復旧作業のそれぞれについて、契約に含まれる範囲を決めます。
連絡窓口だけを決めても、復旧の責任は決まりません。反対に、技術担当者が復旧できても、事業側が公開再開を承認できなければ、対応は終わりません。
契約を終えるときに受け取るものを確認する
保守作業を外部へ任せる場合も、事業者は、利用中のサービス、契約者、支払担当、認証情報の保管場所を把握します。
契約終了時には、次を確認します。
- サイトのデータとデータベース
- ドメインとサーバーの契約情報
- 更新や復旧に必要な手順書
- 画像など、継続利用する素材の利用条件
- 引き継ぎ作業の期限と費用
何を受け取れるかは、契約とサイト構成によって異なります。作業を任せることと、継続や変更を選ぶための情報まで手放すことは別です。
月額料金は、同じ範囲にそろえて比べる
二つの保守案を比べるときは、金額だけでなく、対象、量、期限、担当、別料金の条件をそろえます。一方がバックアップだけ、もう一方が内容変更と障害調査まで含むなら、月額だけの比較にはなりません。
最初に作るのは、料金の一覧ではなく、作業範囲の一覧です。定期作業、依頼による変更、障害対応、契約管理という四つの欄を作り、現在の契約について「含む」「含まない」「未確定」を記入してください。未確定の欄が、保守会社へ最初に聞く質問です。
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