• AdWordsのBid Simulatorは入札変更時の推定値を実績や保証と分けて読む

AdWordsのBid Simulatorは入札変更時の推定値を実績や保証と分けて読む

公開日: 執筆:佐藤

AdWordsのBid Simulatorに表示される数値は、別の上限クリック単価を設定していた場合に、直近の表示回数、クリック数、費用がどう変わり得たかを計算した推定値です。実際に得た結果でも、次の一週間を保証する予測でもありません。

入札を変える前に、実績の行、シミュレーションの行、事業で許容できる費用を分けます。推定クリック数が増える候補でも、追加費用に見合う問い合わせや注文を得られるとは限りません。

Bid Simulatorは別の入札なら起こり得た結果を示す

Bid Simulatorの公式説明は、直近7日間のデータを使い、キーワードへ別の上限クリック単価を設定していた場合の表示回数、クリック数、費用を再計算すると説明しています。

確認する数字は、三つに分けます。

数字 意味 判断できないこと
実績 実際の入札で記録された表示回数、クリック数、費用 別の入札なら必ず得られた結果
シミュレーション 別の入札を使った場合に起こり得た結果の推定 次の期間に同じ数値が出る保証
許容額 一回のクリックや一件の獲得へ事業側が支払える金額 AdWordsが自動で決める採算基準

シミュレーションは、入札とクリック量、費用の関係を比べる材料です。広告から得られる問い合わせ、注文、粗利益まで保証する機能ではありません。

実績の行と候補の行を混ぜない

広告グループ単位のBid Simulatorの説明では、実績の行と、別の上限クリック単価を使った場合の候補が並びます。実績は記録、候補は計算結果です。二つを同じ成果表へ足してはいけません。

説明用の仮例で考えます。

区分 上限クリック単価 クリック数 費用
実績 100円 100 10,000円
推定候補 140円 130 15,600円

この候補では、追加30クリックに5,600円を使う計算です。追加分の一クリックは約187円ですが、表全体の平均クリック単価は120円です。平均だけを見ると、増分に支払う金額を小さく見積もります。

ただし、約187円は仮例の差額から求めた数字で、AdWordsが保証するクリック単価ではありません。追加クリックがコンバージョンへつながる割合も、Bid Simulatorのクリック数と費用だけでは決まりません。

キーワード単位と広告グループ単位を使い分ける

キーワード単位の表示では、そのキーワードの上限クリック単価を変えた候補を比べます。広告グループ単位では、複数のキーワードへ一つの入札を適用する場合と、独自のキーワード入札を持たない語へ広告グループの標準入札を適用する場合を分けます。

広告グループ単位の候補を、その中の全キーワードが同じように増えるという意味で読んではいけません。検索意図、広告文、リンク先ページが異なる語を一つの広告グループへ混ぜている場合、合計値だけでは、どの語へ費用を追加すべきか決められません。

また、意味のある分析に必要なトラフィックがないキーワードには、シミュレーションが表示されないことがあります。数値がないことを不具合と決めつけず、対象期間の表示回数とクリック数を確認します。

Traffic Estimatorの役割とは分ける

Keyword Plannerの公式発表は、Keyword ToolとTraffic Estimatorの機能を一つの流れへまとめています。Keyword Plannerは、候補キーワードを探し、入札単価と予算に応じたトラフィックを見積もり、キャンペーン作成を検討するために使います。

Bid Simulatorは、すでに配信して得た履歴を基に、別の入札ならどう変わり得たかを比べます。新しいキーワードの計画と、配信中のキーワードの入札見直しを同じ推定値として扱わないでください。

問い 確認する機能
新しいキーワード候補と予算を考えたい Keyword Plannerにまとめられた候補探索とトラフィック見積もり
配信中のキーワードで別の入札を比べたい Bid Simulator
変更後に実際の成果がどうなったか知りたい AdWordsの実績とコンバージョン記録

入札変更は追加費用と事業価値で決める

入札とクリック費用の公式解説は、Bid Simulatorのクリック費用曲線と、一クリックから得られる価値を組み合わせて入札を考える方法を示しています。

変更前には、次の順で確認します。

  1. 対象をキーワードまたは広告グループのどちらかへ固定する
  2. 実績の上限クリック単価、クリック数、費用を控える
  3. 候補ごとに、追加クリック数と追加費用を計算する
  4. 同じ期間のコンバージョン数と、一件に許容できる費用を確認する
  5. 変更額、理由、承認者、確認日を記録する
  6. 一つの候補だけを適用し、変更後の実績を別に測る

推定値が大きい候補から選ぶのではなく、追加費用を支払う理由が説明できる候補を選びます。コンバージョン計測がない場合は、クリック増加を売上増加と言い換えず、試験に使える費用と停止条件を先に決めます。

広告運用を外部へ委託しても、上限クリック単価を変える権限と、事業として許容する費用を決める責任は分けます。シミュレーションの画面だけで承認せず、変更前の値、候補、追加費用、確認日を広告主側へ残してください。

最初の一手は、クリックと費用の実績があるキーワードを一つ選ぶことです。実績の行と候補を写し、追加クリック数、追加費用、コンバージョンの確認可否を別々の欄へ書いてから、入札変更を判断します。

戻る