• AdWordsのcross-device conversionsが加わるときは広告の成果と集計方法を分けて見る

AdWordsのcross-device conversionsが加わるときは広告の成果と集計方法を分けて見る

公開日: 執筆:佐藤

9月6日から、AdWordsのConversions列にはcross-device conversionsが自動で加わります。切り替え後にConversionsが増えても、広告の約束が急に強くなったとは限りません。これまで別に見えていた経路が同じ列へ入るためです。予算や入札を動かす前に、広告の成果そのものと、成果の集計方法を分けて見ます。

cross-device conversionsは、ある端末で広告に接触し、別の端末でコンバージョンを完了した経路を測るものです。たとえば、通勤中にスマートフォンで広告を開き、会社のパソコンで見積もりを依頼する人がいます。この依頼が新しく発生したのではなく、すでに起きていた行動がConversions列へ加わる場合があります。

新しいアカウントでは8月16日以降、この数え方が最初から適用されています。すでに運用しているアカウントでも、9月6日から手動で含める設定は不要になります。コンバージョンアクションを一つも変えなくても、レポートの合計と、その列を参照する入札の判断材料は変わります。

コンバージョン数が増えた理由を混ぜない

数値の変化には、少なくとも三つの理由があります。一つは、広告を見た人が増え、実際の問い合わせや購入が増えたこと。二つ目は、広告文、リンク先、掲載順位、季節などが変わり、同じ訪問数でも完了率が変わったこと。三つ目は、今回のように同じ行動でもレポートへ含める範囲が変わったことです。

この三つを一つの「成果が上がった」という言葉で扱うと、次の判断を誤ります。費用が同じままConversionsだけ増えれば、費用対効果はよく見えます。しかし、その差が主に集計範囲によるなら、広告文を改善した結果と同じ根拠で予算を増やすことはできません。

切り替え前後に見るべきなのは、合計の増減だけではありません。どのコンバージョンアクションを主な成果としているか、どのキャンペーンで数値が動いたか、その期間にほかの設定変更があったかを並べます。問い合わせを成果としているアカウントなら、フォーム送信だけを数えるのか、電話や資料請求も同じ列へ入れるのかを先に言葉で決めます。ここが曖昧なままでは、数字を精密にしても広告の判断は精密になりません。

変更前の数字は比較できる形で残す

9月6日より前に、主要なキャンペーンのレポートを保存します。保存する目的は、以前の数字が正しかったと証明するためではありません。切り替え後に数字が動いた理由を分ける基準を残すためです。

記録は、次の一枚で足ります。

記録する項目 確認する理由
比較する期間とキャンペーン 前後で対象を取り違えないため
費用、クリック数、Conversions 数字の変化を同じ単位で追うため
主要なコンバージョンアクション 何を成果として数えているかを確認するため
cross-device conversionsの扱い 列の定義が変わったことを残すため
その期間に行った変更 広告文、リンク先、予算の影響と切り分けるため

比較するときは、9月5日までの一日と9月6日だけを比べません。曜日、営業日、キャンペーンの配信量が違えば、それだけで差が出ます。同じ長さの期間を取り、変更日をまたぐ比較と、変更後だけの通常比較を別にします。前者は集計方法が変わった影響を読むための比較です。後者は広告を運用するための比較です。役割を分ければ、一つの表に無理な結論を背負わせずに済みます。

入札を変える前に、Conversions列を使う場所を確認する

Conversions列は表示用の数字だけではありません。コンバージョンを使う自動入札や、目標CPAを見ながら手動で入札を調整している場合は、数え方の変更が次の入札判断へつながります。

たとえば、月の広告費を変えずにConversionsが20件から25件へ増えたとします。この差のうち5件がcross-device conversionsとして新たに列へ入ったものなら、費用を割って出した1件あたりの費用は低くなります。ここで「広告が急によくなった」と見て目標CPAを下げると、集計方法の変更へ反応して入札条件を狭めることになります。

逆に、別端末で完了する行動を事業にとって正しい成果と考えるなら、その情報を判断へ含める意味があります。ただし、先に確認するのは入札単価ではありません。別端末で完了した問い合わせや購入を、事業の成果として同じ重さで扱うのかです。フォーム送信は数えるが、資料ダウンロードは数えないというような区別が必要なら、コンバージョンアクションの定義から見直します。

設定作業と事業判断の担当を分ける

広告の設定を外部へ任せる場合でも、何をコンバージョンにするかまで自動で決まるわけではありません。設定担当者は、タグの設置、列の確認、レポートの保存はできます。一方で、問い合わせ、購入、予約のどこまでを広告費の判断に使うかは、商品、受け方、利益、対応できる件数を知る側が決めることです。

この分担を曖昧にすると、運用報告の数字は整っていても、事業に不要な行動を増やすために広告費を使うことがあります。cross-device conversionsを含めるかどうかは、計測画面の細かな設定ではありません。広告に何を期待しているかを確認する機会になります。

切り替え直後は結論より説明を残す

最初に行うことは、9月6日前後の数字を見て予算を増減させることではありません。主要なキャンペーンについて、コンバージョンアクション、切り替え前後のConversions、費用、入札の使い方を一枚へ書き出します。その差を説明できてから、広告文、リンク先、予算、入札の順で変更します。

cross-device conversionsは、個々の利用者がどのページを読み、なぜ別の端末で完了したかまで教える数字ではありません。端末をまたぐ行動が集計へ加わることを示す情報です。数字の意味を広げすぎず、広告の成果と集計の変更を分けて扱うことが、次の運用判断を守ります。

確認の記録には、切り替え前後の数字だけでなく、比較した人と判断を保留した理由も残します。後から担当が替わったとき、数値が増えた週に何を変更したのかを説明できます。Conversions列の定義が変わった事実を残しておけば、次の月の報告で数字の差を広告の良し悪しだけへ結び付けずに済みます。

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