AdWordsのUniversal App Campaignsはインストール数より先に価値のある行動を決める
公開日: 執筆:佐藤
Universal App Campaignsを始める前に決めるべきなのは、インストールを何件ほしいかではありません。アプリを入れた人に、次にどの行動をしてほしいかです。アプリ内で価値のある行動を定義しなければ、広告はインストールを増やしても、事業に必要な利用者を増やせません。
Googleは、次世代のUniversal App Campaignsで、アプリ内の行動を基に、事業目標に合う利用者を見つける仕組みを案内しています。検索、Google Play、YouTube、Google Display Networkのサイトやアプリへ配信されます。利用者が広告をどこで見たかより前に、広告へ何を成果として渡すかを決める必要があります。
インストールは大切な数字です。ただし、インストールは利用開始の入口であり、予約、購入、継続利用、資料請求と同じ意味ではありません。入口の数字と、事業がほしい行動を同じ列で評価すると、広告費の使い方が見えにくくなります。
アプリ内の行動を一つ選んで、理由まで決める
価値のある行動は、アプリの種類で変わります。ホテルを探すアプリなら、宿泊施設の詳細を見る、条件に合う部屋を探す、予約へ進むという順序があるでしょう。ゲームなら、一定の段階へ進むことが、継続して使う人を見分ける手がかりになるかもしれません。Googleも、セール情報を開くことやゲーム内のレベル到達のような行動を例に挙げています。
ここで重要なのは、目立つ行動を選ぶことではありません。その行動をした人が、事業にとって次の価値へ進みやすい理由を説明できることです。通知を一度開いた人が多くても、予約や購入と関係がないなら、広告を最適化する中心の指標には向きません。
説明用の仮例として、来店予約アプリを考えます。候補になる行動は、インストール、会員登録、空き日時の検索、予約の確定です。
| 行動 | 分かること | そのままでは分からないこと |
|---|---|---|
| インストール | 入手へ進んだ人の数 | アプリを使い始めたか |
| 会員登録 | 利用の準備を始めたか | 来店する意志があるか |
| 空き日時の検索 | 予約条件を調べたか | 実際に予約を確定したか |
| 予約の確定 | 予約手続きが終わったか | 来店や売上まで結び付いたか |
どれを広告へ渡すかは、予約の取り方、キャンセルの扱い、利用者の流れによって決まります。たとえば空き日時の検索が、予約へ進む利用者を見分けるのに十分な行動なら、その理由を記録します。予約確定だけを数えたいなら、アプリ内の記録がその時点で確実に送られていることを確認します。
同じ操作名でも、数える時点を決めなければ数字はぶれます。「会員登録」を、入力画面を開いた時点で数えるのか、必要な情報を送信して登録が完了した時点で数えるのかは別です。予約も、候補日を選んだ時点と、予約番号が発行された時点では意味が違います。広告へ渡す行動は、利用者が画面で何をしたかだけでなく、記録が確定する地点まで決めます。
行動を一つに絞れないときは、すべてを同じ価値として広告へ渡しません。インストール、会員登録、予約確定を記録すること自体はできます。しかし、広告の目標が予約確定なら、登録だけを増やす設定と混ぜないことが必要です。補助的に見る数字と、広告の判断に使う数字を分けると、reportを読む人も迷いません。
広告の目標と計測の記録を同じ言葉にする
Universal App Campaignsでは、最適化に使うアプリ内行動をAdWordsで定義し、分析の仕組みを接続します。計測上のイベント名と、事業側が呼ぶ成果の名前がずれていると、設定した人しか数字の意味を説明できません。
広告を始める前に、次の四つを一枚へ書きます。
| 書くこと | 確認する内容 |
|---|---|
| 利用者の操作 | 画面で何をした時点を数えるか |
| 計測するイベント | 分析の仕組みでどの名前で記録するか |
| 広告で使う行動 | Universal App Campaignsへ渡す対象か |
| 事業上の意味 | その行動を増やすと何が改善するか |
この対応を作らずに「予約を増やす」とだけ決めても、広告の設定では何を選ぶのか分かりません。反対に、イベント名だけを見て目標を決めると、計測しやすい操作を増やすだけになります。目的を先に決め、目的を表せる行動を計測へ落とします。
計測の確認では、test用の操作を一度行い、分析の画面でその行動が記録されるかを見ます。予約確定を選んだなら、途中の画面を開いただけで同じeventが送られないかも確認します。広告を始めてから数字がないことに気付くと、配信が悪いのか計測がないのかを分けられません。実装した人と広告を運用する人が別なら、event名と確認日時を共有します。
アプリの更新で画面や操作が変わる場合も、広告で使う行動を見直します。以前は予約確定の直後にeventを送っていたのに、画面の変更で別の場所へ移れば、同じ名前でも数えている操作が変わるかもしれません。広告の設定を残したままアプリだけを変えず、行動の定義と計測を一緒に確認します。
インストールを目標にする広告と混ぜない
新規アプリの認知を広げるために、まずインストールを増やしたいことはあります。その場合、インストールを目標にすること自体は間違いではありません。問題は、インストールを増やす広告と、利用開始後の行動を増やす広告を同じ成果として扱うことです。
インストールを目標にするなら、広告費とインストール数を別に見ます。アプリ内の行動を目標にするなら、インストール数だけで成功と決めません。二つの目的を分ければ、インストールが多いが利用されない状態と、インストールは少なくても利用が深い状態を同じ表で混同せずに済みます。
Googleの案内には、アプリ内行動の定義、分析の仕組みの接続、cost-per-installの設定がそろうと、機械学習で広告を調整する説明があります。自動化は、渡した目標を基に動きます。価値の低い行動を渡せば、その行動をしやすい利用者へ広告が寄ります。配信が自動だから、目的まで自動で正しくなるわけではありません。
広告費を判断するときは、インストール数と選んだアプリ内行動を同じ期間で並べます。インストールが増え、予約確定が増えないなら、広告の相手、アプリ内の導線、計測のどこを確認するかを分けます。予約確定が増えたとしても、キャンセルや対応できる件数を見なければ、事業にとってよい結果かは決まりません。広告の数字だけで利用者の価値を決めません。
設定を任せても目標の責任は残る
広告代理店や開発者は、イベントの実装、分析ツールの接続、キャンペーン設定を担えます。しかし、アプリ内で何を価値ある行動と考えるか、どの行動まで広告費を使うかは、事業側が決めることです。ここを外部任せにすると、広告の数字は増えても、利用者へ何をしてほしかったのかが残りません。
開発者へ頼むときは、行動の名前だけでなく、数える画面、記録する時点、test方法を渡します。広告運用者へは、広告へ使う行動と、reportだけに残す行動を渡します。事業側は、その行動が予約や購入へどうつながるかを確認します。三者が同じ「登録」という言葉で別の操作を指さないようにします。
最初の一手は、アプリ内の行動を一つ選び、操作、計測名、広告で使う数字、事業上の意味を並べることです。四つがつながってから、Universal App Campaignsを始めます。
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