ドメインとサーバーを制作会社へ任せる前に誰が管理するか決める
公開日: 執筆:佐藤
ドメインとサーバーの日常作業は、制作会社へ任せても構いません。ただし、会社は、誰の名義で何を契約し、誰が更新し、契約終了時に何を引き継げるかを把握しておく必要があります。
ここでいう管理とは、すべての設定を自社で行うことではありません。必要なときに継続、変更、解約を判断でき、別の担当者へ引き継げる状態を保つことです。
「管理」と「作業」を分ける
制作会社へホームページを依頼すると、ドメインの登録、サーバーの設定、サイトの更新をまとめて「管理」と呼びがちです。しかし、この三つは同じものではありません。
- ドメイン:ホームページのアドレスとして使う登録名
- サーバー:ホームページのデータを置き、公開するための契約
- サイトデータ:文章、画像、プログラム、設定など、表示と更新に必要なもの
作業を一社へまとめても、契約と責任まで一つになるとは限りません。最初に決めるのは、「誰が操作するか」より、「誰が判断し、誰が引き継げるか」です。
四つの役割を一枚にする
ドメイン、サーバー、サイトデータについて、次の四つの役割を書き出します。
| 役割 | 確認すること |
|---|---|
| 名義人・契約者 | 登録記録や契約書に、誰の氏名または法人名が記載されるか |
| 支払担当 | 更新料や利用料を誰が支払い、請求を誰が受け取るか |
| 作業担当 | 設定変更、更新、障害時の連絡を誰が行うか |
| 承認担当 | 契約の継続、移管、解約、公開内容を誰が決めるか |
同じ人が複数の役割を持っても問題ありません。問題は、役割が決まっていないことです。たとえば、制作会社が支払いと作業を代行していても、契約の継続や移管を誰が決めるかは、別に確認できます。
ドメインは「誰の登録か」を確認する
ドメインは、物品のように「代金を払ったから所有した」とだけ考えると、関係を誤りやすくなります。
4月1日に施行されたJPRSのJPドメイン名登録規則では、ドメイン名の登録は、インターネット上の識別子としての一意性を意味し、それ以外の意味を持たないと定めています。また、登録者から権限を受けた指定事業者が、登録、更新、料金の支払いなどを取り次ぐ仕組みも定めています。
確認するのは、少なくとも次の関係です。
- 登録者として記録される人または組織
- 登録手続きを扱う事業者
- 更新案内を受け取る連絡先
- 手続きに必要な認証情報を保管する人
- 事業者を変更するときの手順と費用
制作会社の担当者が登録者として記録されている場合、その担当者との連絡が切れると、変更手続きが難しくなるおそれがあります。JPドメインとは別に、ICANNの登録者向け文書は、顧客のためにウェブ制作者が登録した例を挙げ、記録上の登録者が登録名の保有者として扱われることを説明しています。
「自社で使っているドメインだから大丈夫」と推測せず、登録記録と契約内容を確認します。
サーバー契約とサイトデータも分けて考える
サーバーでは、契約者と利用者が異なる場合があります。制作会社が一括契約したサーバーの一部を利用する形もあれば、依頼者が契約し、制作会社へ設定作業だけを頼む形もあります。
どちらが常に正しいとは限りません。一括契約には、手続きと保守の窓口をまとめられる利点があります。依頼者による契約には、制作会社を変更するときも同じ契約を継続しやすい利点があります。選ぶ前に、次の条件を比べます。
- 月々または年ごとの費用に、どの作業が含まれるか
- 契約を終えると、ホームページの公開はいつ止まるか
- サイトデータを、どの形式で受け取れるか
- 更新に必要な設定や資料を引き継げるか
- 移行作業に、別の費用と期間が必要か
サーバーを自社で契約していても、サイトデータや更新方法を制作会社だけが把握していれば、引き継ぎは止まります。反対に、制作会社名義の契約でも、終了時のデータ返却、移行支援、費用、期限が契約で明らかなら、その条件を見て判断できます。
制作会社へ任せるなら、出口を先に決める
制作会社による一括管理そのものが問題なのではありません。確認せずに任せ、変更が必要になってから条件を知ることが問題です。
契約前に、次の場面を想定します。
明日、別の担当者へ引き継ぐとしたら、誰へ連絡し、何を受け取り、どの費用を払えば公開を続けられるか。
この問いへ答えるため、ドメインとサーバーごとに、名義、契約先、更新日、支払担当、作業担当、承認担当、解約時の手順を一枚へ記録します。認証情報そのものを一覧へ平文で書く必要はありません。どこで、誰が、安全に保管しているかを記録します。
答えられない項目があれば、契約書、利用規約、登録事業者、制作会社の順に確認します。口頭で確認した内容は、日付と回答者を添えて残してください。
最初に確認するのは、技術ではなく責任の所在
設定作業を自社で抱える必要はありません。専門作業は委託し、会社は、契約を続けるか、誰へ作業を任せるか、終了時に何を受け取るかを判断できる状態を保ちます。
まず、現在のドメイン、サーバー、サイトデータを三行に分けます。それぞれへ、名義人・契約者、支払担当、作業担当、承認担当を書き足してください。空欄が、制作会社へ最初に確認する項目です。
ドメインの種類、登録事業者、サーバー会社、契約内容によって、変更や解約の手続きは異なります。この記事だけで権利関係を決めず、実際の登録規則と契約書で確認してください。
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