• リスティング広告の品質スコアとは?入札額だけで掲載を考えない

リスティング広告の品質スコアとは?入札額だけで掲載を考えない

公開日: 執筆:佐藤

品質スコアが低いとき、最初に入札額を上げないでください。Google AdWordsでは、管理画面に1〜10の品質スコアが表示され、広告の品質と入札単価の両方が広告ランクに関係します。品質スコアは、費用を足せば消える警告ではありません。キーワード、広告、リンク先ページのどこを点検するか決める材料として使います。

品質スコアだけを上げることも、広告の目的ではありません。問い合わせや注文を成果とするなら、その件数と内容は別に計測します。品質スコアは広告掲載側の診断、問い合わせや注文は事業上の結果として分けます。

ここでは、Google AdWordsの検索連動型広告を扱います。他社のリスティング広告が同じ名称や仕組みを採用しているとは限りません。品質スコアの固定算式、要素ごとの割合、リンク先ページの制作方法は扱いません。

管理画面の10段階表示と、検索ごとの評価を分ける

Inside AdWords-Japanの品質スコアに関する説明は、管理画面の10段階の品質スコアについて、Googleで検索語句がキーワードと完全に一致した場合の、キーワードの全般的な品質を反映するとしています。

一方、検索ごとの品質評価に関する説明は、品質を検索ごとに評価するとしています。広告を表示するかどうかを判断するときは、検索語句や状況に応じた品質と入札単価が関係します。

この二つは、用途を分けて読みます。

見るもの 分かること それだけでは分からないこと
管理画面の1〜10 キーワードの全般的な品質を確認する手掛かり すべての検索で、同じ条件のまま広告が表示されるか
検索ごとの評価 その検索時に広告を表示する判断へ使われる品質 管理画面の数字だけから、個々の判定を再現すること
問い合わせや注文の記録 広告後の事業上の結果 品質スコアの計算方法

10段階の数字は、検索ごとの判定をすべて再現する点数ではありません。反対に、個々の検索条件を理由に、管理画面の数字を無視してよいわけでもありません。表示値から問題のあるキーワードを見つけ、実際の検索語句、広告、リンク先ページを確認します。

2012年4月には、三つの詳細評価が発表された

Googleの2012年4月24日の英語版公式記事は、キーワードのステータス表示で、従来の1〜10に加え、品質スコアの主な三要素を表示すると発表しました。各要素は、他の広告主との比較により、平均、平均より上、平均より下の相対評価で示すと説明されています。

三要素は、次のとおりです。日本語名は意味を伝えるための訳であり、日本語管理画面で使われる表示名とは確認できていません。

英語版公式記事の項目 本稿での表記 点検する関係
expected clickthrough rate 予想クリック率 検索した人が、その広告を選ぶと見込まれているか
ad relevance 広告の関連性 キーワードと広告の内容が対応しているか
landing page experience リンク先ページでの体験 クリック後のページが、検索と広告の約束に応えているか

同記事は、この追加表示が品質スコアや広告ランクの計算方法を変えるものではないとも明記しました。新しい点は、計算方法ではなく、見直す場所を分けて見られることです。

ただし、日本語公式資料では、三つの詳細評価が日本語アカウントへいつ、どの表記で提供されたかを確認できません。管理画面に表示されていない項目を、あるものとして判断してはいけません。その場合は、表示中の10段階、キーワードの状態、実際の検索語句、広告、リンク先ページを保存し、確認できる情報から見直します。

入札額を上げても、品質上の原因は変わらない

品質スコアだけで、広告の掲載順位は決まりません。日本版の品質スコアに関する説明は、入札単価と品質スコアの双方が高くなると、広告ランクも高くなるとしています。AdWordsオークションの公式解説も、上限クリック単価と品質スコアが、検索結果での広告クリックに実際に支払う額へ関係すると説明しています。

したがって、入札単価と品質は、同じ数字ではありません。

  • 入札単価は、広告主がクリックに対して設定する金額の条件です。
  • 品質スコアは、キーワード、広告、リンク先ページの品質を点検するための表示です。
  • 広告ランクは、広告の掲載を考えるときに、入札単価と品質の双方が関係する別の判断です。

入札単価を上げれば、入札の条件は変わります。しかし、検索語句と広告がずれている、広告とリンク先ページの内容が合っていない、といった品質上の原因は変わりません。点数が低いという理由だけで入札額を上げると、原因を残したまま支出条件だけを変えることになります。

反対に、品質スコアが高ければ、低い入札単価で必ず上位へ掲載されるとも言えません。競合する広告や検索時の状況もあります。Googleの公式資料には、品質スコア1点を金額へ換算する方法や、入札単価と品質を一定割合で配分する固定式は示されていません。

三つの評価から、最初に直す場所を一つ選ぶ

詳細評価が表示されているなら、1〜10の合計値だけを追わず、「平均より下」とされた項目から確認します。複数の項目を同時に変えると、どの変更が判断材料になったか分かりにくくなります。

予想クリック率が平均より下の場合

最初に、登録したキーワードではなく、広告を表示させた実際の検索語句を確認します。事業の対象外の検索へ広がっているなら、広告文を直す前に、キーワードの照合範囲と対象外の検索を見直します。

検索語句が対象内なら、その検索をした人が広告の対象と内容を判断できるかを確認します。クリックを増やすために強い表現を足すのではなく、誰の何を扱う広告かを明らかにします。検索語句の照合範囲と、広告文の書き方は別の記事で詳しく扱います。

広告の関連性が平均より下の場合

一つの広告グループへ、異なる商品、依頼内容、検索意図をまとめていないか確認します。キーワードは修理を求めているのに、広告が販売と保守をまとめて案内していれば、関係が薄くなります。

対策は、キーワードを広告文へ機械的に繰り返すことではありません。検索した人の疑問と、広告が約束する内容を一つへそろえます。対象や次の行動が違うキーワードは、同じ広告で受けない管理方法を検討します。

リンク先ページでの体験が平均より下の場合

広告で示した商品、条件、次の行動を、クリック後のページで確認できるか見ます。広告が修理の受付を示しているのに、移動先が会社案内だけなら、必要な情報へすぐ進めません。

この項目は、ページを新しく作ること自体を求めるものではありません。既存ページで約束した情報を確認できるなら、そのページを使えます。ページ制作や改善の方法は本稿の対象外です。ここでは、検索、広告、移動先の内容が一致しているかだけを確認します。

完全な仮例で、判断の順序を確認する

次は、品質スコアの読み方を示すための完全な仮例です。実在する広告、顧客、サトラボの運用、掲載結果ではありません。

ある事業者が、「事務所 複合機 修理」というキーワードを登録したとします。詳細評価では、予想クリック率とリンク先ページでの体験が平均、広告の関連性だけが平均より下と表示されています。広告グループには、複合機の販売、貸し出し、修理のキーワードが入り、広告文は三つをまとめて案内しています。

この場合、最初に入札単価を変える理由はありません。まず、修理を求める検索と、販売や貸し出しを求める検索を同じ広告で受ける必要があるかを判断します。分けるなら、修理のキーワードと広告の対応を変更し、変更日を記録します。

この変更で、品質スコアや問い合わせが上がるとは保証できません。仮例が示すのは、平均より下の項目から原因候補を一つ選び、入札額とは別に直す順序だけです。

変更前後は、同じ条件を記録する

品質スコアを見直す前に、現在の状態を残します。最低限、次の項目を同じ日付で記録します。

  • キーワードとマッチタイプ
  • 1〜10の品質スコア
  • 表示されている場合は、三つの詳細評価
  • 同じ広告グループで配信中の広告文
  • 広告から移動するページ
  • 変更する項目と変更理由
  • 作業者、確認者、変更日

変更後も、同じキーワードについて記録します。表示値が変わるまでの日数は、Googleの公式資料から一律に決められません。特定の日数で変化すると想定せず、管理画面で確認できた日を残します。

品質スコアが変わっても、それだけで改善完了とはしません。表示回数、クリック、広告費、問い合わせや注文は、同じ期間と同じ対象で別に確認します。品質スコアは事業上の成果件数ではないからです。点数を上げるために、事業と関係の薄い検索からクリックを集めては、目的と手段が逆になります。

判断する人と、変更する人を分ける

小規模な事業では、一人が複数の役割を持っても構いません。ただし、どの立場で何を決めたかは分けて記録します。

役割 責任
事業責任者 広告で受けたい検索、提供する内容、成果として数える行動を決める
運用担当者 品質スコアと詳細評価を確認し、原因候補と変更案を記録する
広告・ページ担当者 承認された一項目を変更し、検索、広告、移動先の対応を確認する
確認・承認者 入札変更と品質改善を分け、変更範囲と確認日を承認する
アカウント管理者 事業者が表示値と変更内容を確認できる権限、担当変更時の引き継ぎ経路を保つ

運用を外部へ委託する場合も、「品質スコアを上げる」という報告だけで判断しません。どのキーワードの、どの詳細評価を根拠に、何を変更したかを確認します。アカウントの閲覧権限や変更履歴の引き渡し条件は契約ごとに異なるため、実際の契約と設定で確かめます。

最初の一手は、平均より下の項目があるキーワードを一つ選ぶことです。そのキーワードについて、現在の表示、原因候補、変更する一項目、作業者、確認者を書いてください。詳細評価が表示されていなければ、存在を推測せず、確認できる表示と実際の検索語句から始めます。

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