リスティング広告の曜日・時間帯設定は営業時間だけで止める前に数字を確認する
公開日: 執筆:佐藤
広告を止める時間は、会社の営業時間だけでは決められません。電話でしか受け付けず、営業時間外の着信へ対応できない事業なら、受付できる時間へ配信を絞る理由があります。一方、問い合わせフォームや注文画面で手続きを完了できるなら、担当者が不在の時間にも広告の役割は残ります。
曜日・時間帯を設定する前に、「広告を見せられる時間」「問い合わせを受け付けられる時間」「担当者が返答する時間」を分けてください。そのうえで、曜日・時間帯別のクリック、費用、計測できた成果を確認します。データが判断に足りなければ、営業時間外という理由だけで止めず、記録を続けます。
ここでは、Google AdWordsの検索連動型広告について、配信時間を決める考え方を扱います。高度な設定には、時間帯ごとに入札を上下させる機能もあります。ただし、入札額の決め方は扱いません。
営業時間、受付時間、配信時間は同じではない
最初に、事業側の時間を四つに分けます。
| 時間 | 決めること | 広告設定との関係 |
|---|---|---|
| 営業時間 | 店舗や事務所が通常の業務を行う時間 | 配信時間を考える材料の一つ |
| 受付時間 | 電話、フォーム、注文などを受け付けられる時間 | 読者が広告後の行動を完了できるかを判断する |
| 返答時間 | 担当者が問い合わせへ返事をする時間 | 受付時に示す案内と一致させる |
| 広告の配信時間 | キャンペーンの広告を表示対象にする曜日と時間帯 | AdWords側で設定する |
営業時間外でもフォームを送れるなら、受付時間は営業時間より長くなります。反対に、営業時間内でも電話担当者が不在になる時間があれば、その時間は電話の受付時間とはいえません。看板に書いた営業時間を、そのまま広告の時間表へ写すだけでは、問い合わせ方法とのずれが残ります。
判断の基準は、広告のあとに読者が取る行動です。電話を求める広告なら、電話を受けられるかを確かめます。フォーム送信やオンライン注文を求める広告なら、その操作が時間外にも完了するか、返答時期が画面上で分かるかを確かめます。
AdWordsの時間設定は、キャンペーンとアカウント時刻で考える
ad schedulingの公式紹介は、広告を配信する時間と配信しない時間を決めるキャンペーン管理機能として説明しています。曜日・時間帯による入札変更も可能です。記事は、営業時間だけ広告を出す地域事業者と、昼の販売機会に入札を変えるオンライン小売業者を、異なる使い方の例に挙げています。
ad schedulingの使い方でも、曜日・時間帯を制御する基本的な使い方と、時間帯ごとに入札を上下させる高度な使い方を分けています。広告を表示対象から外す判断と、表示対象のまま入札額を変える判断は同じではありません。この記事では、前者だけを扱います。
時刻の基準も確認が必要です。アカウントのタイムゾーン設定に関する説明では、選んだタイムゾーンに従って、アカウント全体の広告配信、レポート、請求を管理します。同記事によると、タイムゾーンを設定できるのは一度だけです。
したがって、配信表を作る前に、アカウントで使われているタイムゾーンを確認します。アカウントの時刻と対象地域の時刻に差がある場合は、対象地域の営業時間をそのまま入力してはいけません。時間帯別レポートを業務記録と照合するときも、両方の時刻基準をそろえます。地域をまたぐ配信そのものの決め方は、地域設定の記事へ分けます。
止める前に、曜日・時間帯別の数字を見る
AdWordsでは、時間帯別の数字を確認できます。時間単位のレポートに関する説明は、表示回数、クリック数、費用、クリック率、平均クリック単価を確認できるレポートを紹介しています。レポートの対象には、特定の日付または指定した期間を選べます。アカウント全体と個別キャンペーンの数字も確認できます。
キャンペーンのデータを曜日で分ける機能と、Dimensionsタブで成績を時間帯別に見る機能も利用できます。曜日と時間帯は、印象で決めるしかない設定ではありません。
ただし、クリックが多い時間を残せばよいとは限りません。問い合わせを目的にするなら、最低でも次の記録を分けます。
- 表示回数、クリック数、費用など、広告側の記録
- フォーム送信や注文など、計測対象として決めた完了行動
- 電話へ応対した件数や商談へ進んだ件数など、事業側で確認する記録
- 曜日、時間帯、対象キャンペーン、アカウントのタイムゾーン
Google AnalyticsのAdWordsレポートに関する説明は、AdWordsとGoogle Analyticsを連携し、リンク先URLの自動タグ設定を有効にすると、広告からの訪問を曜日・時間帯で分けて確認できるとしています。訪問と取引をグラフで比べ、成果が多い時間帯を調べる使い方も示しています。
広告のクリックと問い合わせ完了は別の数字です。問い合わせを数える条件が定まっていなければ、時間帯設定より先にコンバージョン計測を整えます。電話の応対成立は、クリックだけでは確認できません。受電記録と広告側の時刻を、同じ条件で照合してください。
完全な仮例で、時間を分ける判断を確認する
以下は、判断方法を説明するための完全な仮例です。サトラボまたは実在する事業者の運用例ではありません。
ある修理事業者は、平日の昼間に電話へ対応し、ウェブフォームは常時受け付けるとします。担当者は、フォームから届いた問い合わせへ、翌営業日までに返答する方針です。一つのキャンペーンには、「すぐ電話で相談したい人」を想定した広告と、「見積もりをフォームで送りたい人」を想定した広告が混在しています。
この状態で、キャンペーン全体を電話受付時間だけに絞ると、フォームへ誘導できる時間帯まで広告の表示対象から外れます。反対に、終日配信したまま電話を強く促すと、応対できない時間に電話を求めることになります。先に、読者へ求める行動が異なる広告を、時間設定を分けられるキャンペーンへ整理します。
電話問い合わせを目的にするキャンペーンでは、実際に応対できる曜日・時間帯を出発点にできます。フォーム送信を目的にするキャンペーンでは、時間外のクリック、費用、送信完了を記録します。記録された成果が少なく、その有無だけで評価が逆転する状態なら、停止の根拠はまだ弱いと判断します。どれだけの件数を待てばよいかという一律の最低値は、Googleの公式資料には示されていません。
設定変更は、理由と日付を残す
配信時間を変えるなら、変更前に次の項目を記録します。
| 記録する項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 対象 | キャンペーン名と、広告後に求める行動 |
| 時刻基準 | AdWordsアカウントのタイムゾーンと、対象地域の時刻 |
| 変更内容 | 変更前と変更後の曜日・時間帯 |
| 理由 | 電話受付、フォーム完了、費用など、判断に使った記録 |
| 変更日 | 設定を反映した日と確認者 |
| 同時変更 | 広告文、キーワード、入札、予算など、同じ時期に変えた項目 |
時間帯だけの影響を見たいなら、同じ時期に多くの項目を変えない方が原因を追いやすくなります。別の項目も変える必要がある場合は、変更内容をすべて記録します。比較するときは、曜日、集計期間、成果の定義、対象キャンペーンをそろえてください。
設定作業を外部へ任せても、営業時間、受付方法、返答方針を決める責任は事業者側に残ります。運用担当者は広告側の記録を出し、問い合わせ担当者は実際の受付状況を確認します。どちらか一方の記録だけを、配信停止の理由にしないことです。
最初の一手は、時間設定を変えることではない
最初に、一つのキャンペーンを選びます。広告後に求める行動、受付できる曜日・時間帯、返答する時間、アカウントのタイムゾーンを、一枚へ書いてください。次に、同じキャンペーンの曜日・時間帯別のクリック、費用、計測できた成果を並べます。
電話へ対応できない時間の広告を止める判断はあり得ます。フォーム送信や注文が可能な時間帯まで、営業時間外というだけで一緒に止める必要はありません。受付方法と数字を分けてから、変更するキャンペーンと時間帯を一つずつ決めてください。
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