AdWordsの自動入札は学習中のstatusと目標の変更履歴を分けて読む
公開日: 執筆:佐藤
AdWordsの自動入札を評価するときは、クリック数やコンバージョンだけを並べて判断しません。入札戦略のstatusと、目標値を変えた日時を同じ期間へ重ねます。学習中や入札上限の制限がある期間は、通常時と同じ条件ではありません。数字が動いた理由を推測する前に、そのとき入札戦略がどの状態で、誰が何を変えたかを確認します。
自動入札に任せることと、結果を見なくてよいことは別です。入札を決める処理が自動になっても、目標を変える人、予算を変える人、広告文やリンク先を変える人、結果を判断する人は残ります。変更の記録がなければ、数字だけを見ても次の判断には使えません。
Learningは通常時の成績と分けて見る
Googleの2015年12月の案内は、自動入札戦略のstatusを確認するレポートを案内しています。入札戦略を作成した直後や、キャンペーンの構成を変えた後は、Learning statusと推定の学習残日数が表示されます。
学習中は、目標どおりに成果が出ていないという一語だけで判断する状態ではありません。設定を作った直後なのか、キーワード、広告グループ、予算、目標を変えた後なのかで、数字を読む前提が変わります。学習中の表示を見てすぐ目標を変え、翌日にまた変えると、何が影響したのかを自分で分からなくします。
同じ案内では、最小または最大の入札額が制約になっている場合に、Limited (bid limits) statusを表示すると説明しています。この状態では、影響を受ける表示回数または広告費の割合も確認できます。コンバージョンが少ないときに、広告文、需要、リンク先、目標CPAのすべてを一度に疑う前に、入札額の制約が出ていないかを見ます。
| 起きたこと | 先に確認するもの | 数字だけで決めないこと |
|---|---|---|
| コンバージョンが減った | status、目標値を変えた日、同時に変えた広告条件 | 入札戦略が失敗したという断定 |
| 広告費が増えた | 予算、status、目標値の履歴 | クリック単価だけが原因という判断 |
| Learningが続く | 戦略を作った日、キャンペーン構成を変えた日、学習残日数 | 毎日目標を動かすこと |
| Limitedが出る | 最小または最大の入札額、影響を受ける割合 | 制約を確認せずに目標だけを変えること |
statusは成果の理由を一つに決める印ではありません。Learningと出ているなら、学習に入った条件があることを示します。Limited (bid limits)と出ているなら、設定した下限または上限が入札の幅を狭めている可能性があります。どちらも、広告文が悪い、商品に需要がない、リンク先が読まれていないといった別の問題を消すものではありません。だから、表示された言葉だけを月次報告へ写すのではなく、何を比べるために見るのかを決めます。
特に、目標CPAを変えた直後の数字は、以前の目標で出た数字と混ぜない方がよいでしょう。目標を厳しくすれば、広告費を抑えたい意図と、広告を出せる機会が減る可能性が同居します。反対に、目標を緩めれば、より多くの機会へ入札する余地はできますが、許容する獲得単価まで変わります。どちらが正しいかは、広告画面の表示だけでは決まりません。問い合わせ一件に払える費用、受注までに必要な確認、広告費を続けて出せる期間を先に決め、その条件と目標値が合っているかを見ます。
statusの履歴と目標の履歴を同じ画面で見る
AdWordsのstatus over time reportingは、選んだ期間のパフォーマンスグラフへ入札戦略のstatusを重ねます。target over time reportingは、過去に設定した目標をパフォーマンスの推移と重ねます。どちらか一方だけを見るより、「目標を下げた日」「学習に入った日」「制約が出た日」「数字が動いた日」を並べた方が、判断の材料になります。
たとえば、目標CPAを下げた後にコンバージョンが減ったとします。この結果だけでは、広告を見た人が減ったのか、目標を下げたことが影響したのか、リンク先を変えたことが影響したのかを分けられません。さらに同じ期間に予算も広告文も変えていれば、比較条件はそろいません。
確認する期間を決めたら、次のように記録します。
- 比較するキャンペーン、期間、見る指標を先に固定する。
- statusが変わった日と、目標値を変えた日をグラフへ重ねる。
- 予算、広告文、キーワード、リンク先、計測設定を変えた日も同じ記録へ残す。
- 数字の変化が、どの変更より後に起きたかを確認する。
- 一つの変更を評価する間は、次の大きな変更を重ねない。
これは自動入札を触らずに待つための手順ではありません。制約が出ている、計測が壊れている、目標と事業の条件が合っていない場合は、変える理由があります。ただし、変えるなら変更前の値、変更理由、変更日時を残します。次に戻す必要が出たとき、どこへ戻すかが分かります。
一度に二つ以上の変更が必要なときもあります。たとえば、計測の誤りを直す作業と、目標CPAを見直す作業を同じ日に行うことはあり得ます。その場合は、二つを一つの「調整」として扱わず、変更の目的を分けて記録します。計測を直した後のコンバージョン数は、広告の成果だけでなく、数え方が変わった影響を受けるからです。比較に使う数字を変えたときは、以前の期間と単純に増減を比べないことが必要です。
月次レポートだけでは変更の理由が残らない
運用を外部へ頼む場合も、月末の広告費とコンバージョンだけを受け取るのでは足りません。入札戦略の名称、目標値、変更日時、status、予算、変更した人、確認したレポートを広告アカウント側へ残します。作業を委託しても、広告アカウントの所有者が目標と変更履歴を確認できなければ、運用を引き継げません。
レポートには「自動入札を使っている」と書くより、いつ何を変え、変更時にどのstatusだったかを残します。成果が良い月でも悪い月でも、変更の理由が残っていれば、次のキャンペーンで同じ判断を検討できます。数字だけでは、たまたまの変動と設定の影響を分けられません。
最初の一手は、現在使っている入札戦略を一つ選び、目標、status、予算を最後に変えた日を同じ表へ記録することです。その表があれば、次に数字が動いたとき、先に確認する順番が決まります。
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