• リスティング広告の地域設定は営業地域と問い合わせ地域を合わせる

リスティング広告の地域設定は営業地域と問い合わせ地域を合わせる

公開日: 執筆:佐藤

リスティング広告の地域設定は、会社の所在地だけで決めません。商品を届けられる地域、訪問できる地域、実際に受け付ける地域から決めます。そのうえで、検索者の所在地、検索語に含まれる地域の意図、除外地域、問い合わせで確認した地域を分けて見ます。

地域を狭くすればよいわけではありません。営業地域の外から検索して、営業地域内の支店や物件について問い合わせる人もいます。反対に、営業地域内から検索していても、依頼先が地域外なら受け付けられません。いわゆる無駄配信として減らすべきなのは、地域外の検索者全員ではなく、自社が受けられない依頼につながる配信です。

ここでは、Google AdWordsの検索連動型広告を扱います。検索結果以外の掲載先、入札、広告文、キーワードのマッチタイプ、除外キーワードの選び方、広告から到達するページの改善は扱いません。

「地域」を五つに分ける

地域設定を決めるときは、次の五つを同じものとして扱わないでください。

種類 内容 判断または確認する人
営業地域 商品を届ける、訪問する、または依頼を受け付ける地域 事業責任者
検索者の所在地 検索時に検索者がいるとAdWords側で判断した地域 AdWordsが配信判定に使い、運用担当者は地域の分布を確認
検索語の地域意図 検索語に含まれる地名などから読み取られた、関心のある地域 AdWordsが配信判定に使い、運用担当者は検索語を確認
ターゲット地域・除外地域 広告主がキャンペーンへ指定した、配信対象または対象外の地域 運用担当者が設定し、事業責任者が承認
問い合わせ地域 問い合わせ後に分かる、納品先、訪問先、利用場所などの地域 受付担当者

所在地と地域意図を分ける必要があります。AdWordsの地域設定に関する説明は、検索者が実際にいる場所をphysical location、検索語に含まれる地名などをlocation of interestとしています。AdWordsでは、どちらを使って広告を出すか、どちらを使って地域を除外するかを選べます。

所在地は、問い合わせ先の住所ではありません。地域意図も、最終的な依頼先を保証しません。広告側の地域判定と、問い合わせで確認した地域は、別の記録として扱います。

営業地域を先に決める

管理画面を開く前に、商品またはサービスごとの営業地域を書き出します。会社から近いかどうかではなく、注文や依頼を受けられるかどうかで分けます。

区分 事業上の意味 広告設定を考える前の確認
受け付ける 通常の条件で、納品、訪問、対応ができる 地域名と対象サービスを確定する
条件付きで受け付ける 日程、作業内容、担当体制などを確認して決める 誰が受注可否を判断するか決める
受け付けない 現在の体制では依頼を受けない 除外候補として理由を記録する
未確認 営業部門と広告担当者の認識がそろっていない 設定を変える前に事業責任者へ確認する

同じ会社でも、持ち込み修理、訪問修理、配送では営業地域が異なる場合があります。すべてのサービスを一つの広い地域へまとめると、受けられない依頼まで広告の対象に含めます。サービスごとに営業地域が違うなら、広告の管理単位も分けて考えます。

Inside AdWords-Japanの地域設定に関する説明は、さいたま市や東京23区を例に、候補地域の検索、地図上の範囲確認、地域の追加と除外、半径による設定を紹介しています。一方、設定できる地域の定義は固定ではありません。Googleは2011年5月、実在地域の変更や重複などを理由に、日本を含む一部のターゲット地域を変更すると発表しました。

営業地域を市区町村で決めても、その単位が管理画面で選べるとは限りません。一般論として一律に決めず、実際のアカウントで選べる地域と地図上の範囲を確認します。選べない場合は、より広い地域と除外地域、または地点と半径で営業地域に近づけられるかを検討します。

所在地と地域意図を、仮例で分ける

説明用の仮定として、甲市と乙市でだけ、業務用機器の訪問修理を受け付ける事業を考えます。丙市への訪問修理は受け付けないものとします。実在する事業者、顧客、広告配信、問い合わせではありません。

検索者の所在地 検索語の仮例 依頼先として考えられる地域 設定を判断するときの注意
甲市 業務用機器 修理 甲市とは限らない 所在地だけでは訪問先を確定できない
丙市 甲市 業務用機器 修理 甲市の可能性がある 甲市の支店や物件を管理する人かもしれない
甲市 丙市 業務用機器 修理 丙市の可能性がある 検索者が甲市にいても、営業地域外の依頼かもしれない
丙市 業務用機器 修理 不明 所在地は営業地域外で、検索語から地域意図を判定できない
判定できない 乙市 業務用機器 修理 乙市の可能性がある 所在地を判定できなくても、地域意図は営業地域内にある

広告の目的が、甲市または乙市にいる人からの緊急依頼に限られるなら、所在地を狭く使う理由があります。甲市または乙市の支店や物件について、別の地域にいる担当者からも依頼を受けるなら、検索語の地域意図を残す理由があります。どちらを選ぶかは、広告の機能ではなく、実際の受付条件で決めます。

日本版の地域設定に関する説明は、端末のIPアドレスから利用者を地域へ関連付けられない場合があるとしています。そのような地域では、検索語に含まれる、地域への関心を示す情報などを主に使って広告を表示します。所在地を正確な現在地とみなし、営業判断を自動化してはいけません。

2012年4月の変更を、既存キャンペーンへ一律に当てはめない

地域設定は、2012年の春にも変更がありました。Googleは2012年4月5日、英語版の地域設定について、表示文言と一部の挙動を変えると発表しました。

同記事によると、英語画面のPeople in my targeted locationは、検索語が別の地域を示していても、指定地域にいる人へ広告を表示する設定になりました。それ以前のTarget using physical locationでは、指定地域にいる人でも、検索語が別の地域への関心を示す場合は広告を表示しない挙動でした。

除外方法の既定も、所在地だけで除外する方法から、所在地または除外地域への関心で除外する方法へ変更されました。ただし、公式記事は、新しい除外の既定が新規キャンペーンだけに影響し、既存キャンペーンには影響しないと明記しています。

そのため、キャンペーンを点検するときは、次の事実を記録します。

  • キャンペーンを新しく作った時期
  • 現在選ばれているターゲット方法
  • 現在選ばれている除外方法
  • 管理画面で使われている実際の表示名
  • 選択できる地域と、地図上に示された範囲

英語版公式ブログの発表だけから、日本語アカウントの表示名、提供時期、既存設定を断定しません。管理画面で確認できない項目は、推測で変更せず、現在の設定と配信結果を保存してから判断します。

除外地域は、除外キーワードの代わりではない

除外地域は、所在地や地域意図を使って、広告を出さない地域を指定します。除外キーワードは、登録した除外語と検索語が一致する場合に、広告表示の候補から外します。地域設定とキーワード設定は、働く条件が違います。

たとえば、丙市を営業地域外と決めても、「丙市」を除外キーワードへ入れるだけでは、丙市にいる検索者を除外できません。丙市にいる人が「甲市 業務用機器 修理」と検索しても、その検索語に「丙市」は含まれないからです。反対に、この除外語は、甲市にいる人が「丙市 業務用機器 修理」と検索した場合に働きます。検索者の所在地を条件にする仕事は、除外キーワードではなく地域設定で行います。

除外地域を加える前に、次の二点を決めます。

  1. どの地域への依頼を、事業として受け付けないか。
  2. 検索者がどこにいる場合と、どの地域を検索している場合を止めるか。

除外後は、営業地域内について調べる検索まで止めていないかを確認します。地域外の表示が一件でもあれば、ただちに範囲を狭める、という判断はしません。営業地域内の依頼へつながる経路を残したうえで、受けられない問い合わせが繰り返される条件を探します。

広告の地域レポートと、問い合わせ地域を突き合わせる

Geographic Performance reportの説明は、表示、クリック、コンバージョンの地域分布を広告グループ単位まで確認できるとしています。地域設定の変更に関する説明も、地域別の状況をgeographic reportで確認できると案内しています。

このレポートは、広告配信側で判定した地域を見る資料です。訪問先、納品先、利用場所など、問い合わせ後に分かる営業上の地域を証明するものではありません。問い合わせの受付記録を別に作ります。

記録項目 記録する内容
問い合わせ日 比較する期間をそろえるための日付
問い合わせ対象 どの商品またはサービスへの相談か
依頼先の地域区分 営業地域内、条件付き、営業地域外、不明のいずれか
受付結果 受け付けた、条件確認中、断ったのいずれか
判断理由 地域、サービス内容、日程など、判断を変えた条件
広告との対応 確認できる場合だけ、キャンペーンや検索語の記録と対応させる

住所を広告担当者へそのまま渡さなくても、営業地域内、条件付き、営業地域外、不明という区分は共有できます。確認できない広告との対応関係は、推測で埋めません。

同じ期間について、広告側の地域、地域名を含む検索語、問い合わせで確認した地域を見ます。広告と問い合わせの対応を確認できる範囲で、営業地域外からのクリックが営業地域内の依頼につながっているなら、所在地を狭めると必要な依頼まで失うおそれがあります。検索者が営業地域内でも、営業地域外への依頼が続くなら、検索語の地域意図と除外方法を見直します。

問い合わせがない期間は、地域設定が正しいとも、間違っているとも断定できません。表示、クリック、問い合わせを同じものとして扱わず、判断に使える記録がどこまであるかを先に確かめます。

判断、設定、受付の責任を分ける

役割 責任
事業責任者 サービスごとの営業地域、条件付き地域、営業地域外を決める
運用担当者 現在のターゲット方法と除外方法を確認し、変更案と影響範囲を記録する
受付担当者 依頼先の地域区分と、受け付けたかどうかを記録する
確認・承認者 広告側の地域と問い合わせ地域を比べ、設定変更を承認する
アカウント管理者 事業者が設定と変更履歴を確認できる権限、担当変更時の引き継ぎ経路を保つ

同じ人が複数の役割を持っても構いません。ただし、広告運用担当者だけで営業地域を推測し、受付担当者だけで広告設定を変える運用は避けます。地域設定は、管理画面の作業と営業上の判断をつなぐ仕事です。

運用を外部へ委託する場合も、事業者は、どの地域を対象とし、どの地域を除外し、誰が変更を承認したかを確認できる状態にします。契約上の権限や記録の引き渡し条件は個別に異なるため、実際の契約とアカウント設定で確認してください。

まとめ

リスティング広告の地域設定は、営業地域を先に決め、検索者の所在地、検索語の地域意図、除外地域、実際の問い合わせ地域を分けて見直します。会社所在地の周辺へ狭めること自体は、目的ではありません。

最初の一手は、一つのキャンペーンについて、営業地域、現在のターゲット方法、現在の除外方法、問い合わせで記録する地域区分を一枚に書くことです。四つのうち一つでも不明なら、配信範囲を広げたり狭めたりする前に、その不明点を確認してください。

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