リスティング広告のコンバージョン計測はクリックと問い合わせを分けて設定する
公開日: 執筆:佐藤
リスティング広告のコンバージョン計測では、広告をクリックした人が、問い合わせ送信や注文などの行動を完了したかを記録します。問い合わせを目的とするなら、フォームを表示した時点ではなく、正常送信後の完了画面を計測点にします。
ただし、完了画面の記録は、送信が完了したことを示す数字です。有効な問い合わせや成約まで、自動で確定する数字ではありません。広告のクリック、計測上のコンバージョン、事業上の成果を分けて管理します。
ここでは、Google AdWordsのコンバージョン計測を扱います。他社のリスティング広告では、同じ名称や設定方法を使うとは限りません。
クリック、送信完了、事業上の成果は別の段階
広告をクリックしただけでは、問い合わせが成立したかは分かりません。フォームの送信完了を計測しても、その内容が営業地域や受付条件に合うかまでは分かりません。
問い合わせを目的とする広告では、少なくとも次の段階を分けます。
| 段階 | 記録するもの | その記録だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 広告のクリック | 広告からサイトへ移動した回数 | 問い合わせへ進んだか |
| フォームの表示 | 入力画面を見た回数 | 正常に送信したか |
| 送信完了 | 完了画面を表示した回数 | 受け付けたい問い合わせか |
| 有効な問い合わせ | 受付条件に合う連絡の件数 | 見積もりや成約へ進んだか |
| 成約 | 契約または注文が成立した件数 | 必要な費用を引いて利益が残ったか |
AdWords Conversion Trackingの設定ガイドは、広告をクリックした人が、購入やニュースレター登録などを完了したか確認する機能を説明しています。計測コードを置く場所は、利用者が価値ある行動を完了したあとに見るページです。
ここでいうコンバージョンは、広告主が計測対象として決めた行動です。事業にとって最終的な成果かどうかは、その行動の定義と、受付後の確認によって変わります。
計測点は、行動が終わった画面に置く
問い合わせフォームなら、入力画面ではなく、正常送信のあとだけ表示する完了画面を計測点にします。入力画面へ計測コードを置くと、送信しなかった人までコンバージョンとして記録するからです。
完了画面は、送信エラーのときに表示しないようにします。URLを直接開いただけでも表示できる構成なら、実際の送信を伴わない表示が記録へ混じる可能性があります。計測コードを貼る前に、どの条件で完了画面を出しているかを確認します。
次は、段階の違いを説明するための完全な仮例です。実在する事業、顧客、広告配信、問い合わせ結果ではありません。
事務所移転の見積もりを受け付ける広告を仮定します。広告をクリックしてサービス案内を読んだだけなら、まだコンバージョンにしません。フォームを正常に送信し、完了画面が表示された時点を、「見積もり問い合わせ送信完了」としてAdWordsへ記録します。
その後、担当者が対象地域、希望時期、依頼内容を確認し、受付条件に合う連絡だけを有効な問い合わせとして記録します。見積もり提出や成約は、さらに別の結果です。送信完了を計測できても、後続の確認は省けません。
設定は、名前、コード、通し試験の順に進める
最初に、何が完了した数字なのか分かる名前を付けます。「問い合わせ」ではなく、「見積もり問い合わせ送信完了」のように、計測点まで書きます。
次に、AdWordsでその行動のコンバージョン計測コードを作り、サイトを編集する担当者が完了画面のHTMLへ貼ります。公式設定ガイドは、生成したコードを、完了画面のbody要素内へ置く手順を示しています。広告担当者がコードを作り、ウェブサイトの担当者へ送る分担も案内しています。
実装後は、広告クリックから行動完了までを通して試します。完了画面のHTMLにコードがあることと、AdWords側へ記録されることを確認します。広告を自分でクリックする試験は費用を伴うため、実施日、担当者、試験件数を残し、実際の問い合わせと区別します。
計測コードの設置とは別に、利用者への説明も確認します。同ガイドは、Google Site Stats通知を表示しない場合の条件も示しています。その条件は、プライバシーポリシーなどを通じて、AdWordsのコンバージョン計測を使っていることを利用者へ知らせることです。実際に掲載する説明は、利用するサービスの条件と自社サイトの方針を確認して決めます。
異なる行動を、一つの数字へまとめない
資料請求、問い合わせ、注文をすべて「コンバージョン」として一つへ合算すると、どの行動が増えたのか分かりません。
AdWordsレポートガイドは、販売、ニュースレター登録、問い合わせフォーム送信などに、別のコンバージョン種別を設定できると説明しています。一つの広告クリックへ、複数種別のコンバージョンが関連する場合もあります。
行動ごとに、名前と計測点を分けます。
| 行動 | 名前の例 | 計測点の例 |
|---|---|---|
| 資料請求 | 資料請求送信完了 | 資料請求の完了画面 |
| 見積もり問い合わせ | 見積もり問い合わせ送信完了 | 問い合わせの完了画面 |
| 注文 | 注文完了 | 注文確定後の画面 |
この表も、設定方法を説明するための仮例です。各行動の価値が同じという意味ではありません。広告を見直すときは、行動別の件数と、事業側で確認した結果を並べます。
計測する人と、問い合わせを判断する人を分ける
コンバージョン計測は、広告管理画面だけでは完結しません。事業の受付条件、ウェブサイトの実装、広告の記録、実際の問い合わせをつなぐ作業です。
| 役割 | 決めること・確かめること |
|---|---|
| 事業責任者 | 何を成果とし、どの問い合わせを有効とするかを決める |
| 広告運用担当者 | コンバージョン名を設定し、広告クリック後の記録を確認する |
| ウェブサイト担当者 | 完了画面の表示条件とコードの実装を確認する |
| 問い合わせ対応者 | 受信した内容を確認し、有効な問い合わせ、見積もり、成約を別に記録する |
小規模な事業では、一人が複数の役割を持っても構いません。ただし、広告運用を外部へ依頼した場合も、コンバージョンの定義を外部担当者だけで決めてはいけません。受付条件を知る事業者が、何を数えるかを承認します。
AdWordsのアカウント、生成したコード、ウェブサイトの編集権限、問い合わせ記録について、誰が確認できるかも残します。作業を委託することと、計測方法や記録を事業者が確認できなくすることは別です。実際の権限と引き渡し条件は、契約と設定で確かめます。
アクセス解析とは、確認する範囲が違う
AdWordsのコンバージョン計測は、広告クリックと、設定した行動の完了を結び付けて確認するために使います。サイト全体の訪問経路や閲覧状況を調べる仕事とは、確認する範囲が違います。
AdWords Conversion TrackingとGoogle Analyticsの使い分けは、前者を広告のコンバージョン指標に使うと説明しています。Google Analyticsは、サイト内の利用者行動、ページビュー、流入元などを確認する道具です。両者は独立した計測であるとも記しています。
そのため、アクセス解析とAdWordsの数字を、理由を確認せず一致させようとしてはいけません。比較する場合は、対象期間、成果の定義、計測点、社内試験を含むかどうかをそろえます。本稿では、サイト全体のアクセス解析設計や目標設定までは扱いません。
計測後は、問い合わせ記録と照合する
AdWordsに送信完了が記録されたら、同じ期間の問い合わせ記録と照合します。見るのは、コンバージョン総数だけではありません。
- どの行動名で記録されたか
- 試験操作を含んでいないか
- 受信した問い合わせと対応するか
- 受付条件に合う有効な問い合わせか
- 見積もりや成約へ進んだか
数字に差があれば、広告の良し悪しを決める前に、完了画面の表示条件、コードの設置場所、試験操作、比較期間を確認します。計測が正しいと確認できてから、キーワードや広告文など、広告運用の判断へ進みます。
最初の一手は、一つの行動について、「何が完了したらコンバージョンとするか」を一文で書くことです。その行動のあとだけ表示する画面、コードを実装する人、記録を確かめる人、問い合わせを判定する人を決めてください。
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