AdWordsのEstimated Total Conversionsは計測値と推定値を分けて読む
公開日: 執筆:佐藤
AdWordsのEstimated Total Conversionsは、広告から直接計測できたコンバージョンだけを数える指標ではありません。通常のConversion Trackingで得た結果と、複数の端末やブラウザにまたがるコンバージョンの推定を併せて確認するための指標です。
推定値を、注文記録と一件ずつ照合できる実測値として扱ってはいけません。通常のコンバージョン、Estimated Cross-device Conversions、Estimated Total Conversionsを分けて記録し、同じ定義と期間で比較します。
計測できた結果と端末横断の推定を分ける
Googleが10月1日に発表したEstimated Total Conversionsは、Google.comの検索広告について、確認できるオンラインコンバージョンと、複数端末にまたがるコンバージョンの推定を併せて示します。最初に加わる推定の種類がEstimated Cross-device Conversionsです。
| 数値 | 示すもの | 記録上の扱い |
|---|---|---|
| 通常のコンバージョン | Conversion Trackingで計測した完了行動 | 計測値として残す |
| Estimated Cross-device Conversions | 広告クリックとコンバージョンが別の端末またはブラウザに分かれた件数の推定 | 推定値として残す |
| Estimated Total Conversions | 通常のコンバージョンと端末横断の推定を併せた見方 | 内訳と一緒に残す |
Estimated Total Conversionsだけを転記すると、実際に計測した数と推定で補った数の区別が消えます。広告費や入札を判断する資料には、少なくとも通常のコンバージョンとEstimated Cross-device Conversionsを並べます。
Estimated Cross-device Conversionsは標本から算出する
Estimated Cross-device Conversionsは、Google.comの検索広告を一つの端末でクリックし、別の端末、または同じ端末の別ブラウザでコンバージョンした経路を対象とします。Googleは、複数の端末へログインしている利用者の標本データから推定すると説明しています。
たとえば、携帯電話で検索広告をクリックし、別のパソコンから商品を購入する場合があります。これは仕組みを説明するための仮例です。個々の注文へ、同じ端末横断経路を直接付けた件数ではありません。
推定値である以上、自社の注文番号や問い合わせ記録と一件ずつ突き合わせる用途には向きません。照合できる成約を管理したい場合は、通常のConversion Trackingや、GCLIDと営業記録を結び付けるオフラインコンバージョンを別に使います。
表示にはConversion Trackingと十分な件数が必要になる
Estimated Cross-device Conversionsを表示するには、AdWords Conversion Trackingを利用し、信頼できる推定の基になる十分なコンバージョン量が必要です。設定画面を開けば、すべてのアカウントへ数値が表示されるわけではありません。
数値が表示されない場合は、推定値を手作業で補いません。次を順に確認します。
- Google.comの検索広告を確認しているか
- Conversion Trackingが対象の完了行動を計測しているか
- コンバージョン名と完了条件が運用途中で変わっていないか
- 比較する期間に十分なコンバージョンがあるか
- Estimated Cross-device Conversionsの列が利用できるか
十分な件数の具体的な基準は、公式発表に示されていません。表示されないことだけを、タグの故障と判断しないでください。
Estimated Total Conversionsへ推定値を重ねて足さない
Estimated Total Conversionsは、確認できるオンラインコンバージョンと端末横断の推定を併せて見るための数値です。集計表へEstimated Total Conversionsを転記したうえで、Estimated Cross-device Conversionsをもう一度加えると、推定分を重複して数えることになります。
報告表では、次のように列の定義を残します。
| 記録項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 開始日と終了日 |
| 対象範囲 | Google.comの検索広告、対象キャンペーン |
| 通常のコンバージョン | Conversion Trackingで計測した件数 |
| Estimated Cross-device Conversions | 標本から算出された推定件数 |
| Estimated Total Conversions | 計測値と推定値を併せた件数 |
| コンバージョン定義 | 購入、申込完了など、何を完了としているか |
表は記録形式の仮例です。推定値を四捨五入するか、どの期間で報告するかは、組織内で統一します。数字の見た目をそろえるために、推定値を実測値へ書き換えません。
入札と予算は推定値だけで決めない
端末横断の推定を加えると、携帯電話で始まり、別の端末で完了する経路を広告評価へ含められます。ただし、Estimated Total Conversionsが増えたことだけで、入札単価や予算を増やすとは決められません。
同じ期間について、広告費、通常のコンバージョン、Estimated Cross-device Conversions、Estimated Total Conversionsを並べます。さらに、受注記録や売上など、事業側で確認できる結果と方向が合うかを見ます。推定値は判断材料を増やしますが、事業の成約記録に置き換わるものではありません。
広告運用を外部へ委託している場合も、どの列を報告値として使ったか、推定値を含むか、コンバージョンの定義を変えたかは、広告主が確認できる状態にします。報告書の合計値だけでは、計測値と推定値を分けられません。
まず一つのキャンペーンについて、通常のコンバージョン、Estimated Cross-device Conversions、Estimated Total Conversionsを同じ期間で書き出してください。数値の定義を確認してから、入札や予算を変えるか判断します。
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