AdWordsの無効clickはbotnetを疑う前に変更内容と条件をそろえて確認する
公開日: 執筆:佐藤
AdWordsのclick数が急に増えても、最初からbotnetによる無効clickと決めないでください。keyword、入札額、掲載地域、広告文、掲載順位を変えれば、通常の利用者によるclickも増えます。変更内容と比較条件を残し、請求対象のclickとsite内の行動を分けて確認します。
Googleの2016年2月の案内は、感染したcomputerから発生するbotnet trafficを広告systemから除く取り組みを説明しています。botnet trafficは一般的なbrowserの利用やscroll、click、mouseの動きに似せられることがあり、一つの指標だけで見分けることは難しいとしています。
このため、同じIP addressからのclickだけを探して結論を出すような見方では足りません。Googleの案内は、広告system側でbotnet trafficをfilterする取り組みを示していますが、広告主が自分のreportを見て特定のclickをbotnetだと断定できるという話ではありません。広告主側でできることは、予想外の数字が出たときに、通常の運用変更とsite側の変化を先に記録し、確認できる事実をそろえることです。
clickが多いこと自体は異常ではありません。新しいkeywordを追加した、入札額を変えた、表示地域を広げた、広告文を直した、季節や営業日が変わったというだけでも、表示回数とclickは動きます。どの変更もしていないのに数字が動いた場合でも、いきなり不正と決めず、比較する期間、対象campaign、landing pageの状態を揃えます。原因の名前を早く付けるより、後から同じ数字を見直せる状態を作る方が先です。
clickの増加と広告設定の変更を同じ表へ置く
異常を確認するときは、日ごとのclick数だけを並べません。広告accountで変えた条件と、広告をclickしたあとにsiteで起きた行動を、同じ期間で比べます。
| 比べるもの | 確認する理由 |
|---|---|
| keywordと入札額 | 対象や掲載機会を広げていないかを見る |
| 地域と配信時間 | clickが増えた時間帯や地域を分ける |
| 広告文と遷移先URL | 約束とlanding pageの内容が変わっていないかを見る |
| click数と問い合わせ | clickの増加が本来の目的と結び付くかを見る |
| 変更前後の期間 | 曜日や営業日の差を混ぜないため |
例えば入札額を上げた週だけclickが増えたなら、botnetの有無を論じる前に、表示回数、掲載順位、対象keywordがどう変わったかを見ます。比較する日数と配信条件が違えば、click率だけを見ても結論を出せません。
問い合わせが減った場合も、clickが無効だったと決める根拠にはなりません。広告文とlanding pageの約束がずれた、電話での問い合わせへ移った、formが壊れた、営業時間外だったというように、click後の行動には別の理由があります。広告accountの数字とsite側の記録を別に持ち、同じ日付で並べます。clickを広告費の問題としてだけ扱うと、site内の問題を見落とします。
比較の単位も小さくします。全accountの月間clickが増えたというだけでは、どのcampaignで何が起きたかを調べにくくなります。まず増えたcampaignを一つ選び、対象keyword、地域、配信時間、広告文、landing pageを確認します。変化が見つかった場合は、次のcampaignへ広げる前に、変わった条件と数字の関係を記録します。一度に全campaignの設定を戻すと、本当に影響した変更まで分からなくなります。
記録してからaccountを確認する
気になる動きが出たら、設定を何度も変えて記録を消さないでください。まずaccountの変更履歴、期間、対象campaignを保存します。そのうえで、広告表示の範囲とsite側のアクセスを確認します。
- 増加した日とcampaignを記録する。
- その前後で変えた入札、keyword、地域、広告文を記録する。
- 同じ曜日と配信時間にそろえ、表示回数、click、click率を比べる。
- landing pageで問い合わせや閲覧がどう変わったかを別に見る。
- 請求と無効clickに関する確認が必要なら、記録を添えてAdWordsの窓口へ問い合わせる。
無効clickを調べる作業を外部へ頼む場合も、accountの所有者と閲覧権限は広告主側で確認します。reportを受け取るだけでは、あとで対象期間や設定変更を確かめられません。
問い合わせ先へ伝える記録には、疑っている理由ではなく、確認できた経過を書きます。いつから増えたか、どのcampaignか、直前に何を変更したか、比較した期間、表示回数、click、click率、site側で見た行動をまとめます。「不正clickだと思う」とだけ伝えても、どの条件を確認すればよいかが分かりません。数字と変更内容を分けて渡せば、広告主、運用担当、Googleの窓口で同じ期間を見られます。
また、調査中に広告を止めるか、入札を下げるか、設定を保つかは、事業上の判断です。問い合わせが止まれば困るcampaignを、原因が分からないまま全面停止すると、正常な広告機会まで失います。反対に、予算の上限を超えるおそれがあるなら、被害を広げないための一時的な判断が必要になることもあります。どちらを選ぶ場合も、止めた日時、理由、戻す条件を残します。調査と運用判断を同じ言葉で済ませません。
botnetという言葉を原因の代わりにしない
botnetは、malwareへ感染したcomputerを多数操作し、人ではないtrafficを発生させる仕組みです。ただし、広告accountに予想外のclickがあることだけでは、特定の原因を示せません。Googleの案内でも、広告system側がtrafficを自動でfilterする仕組みを説明しています。
botnetという言葉は、原因を説明したように見えて、実際には確認すべき項目を減らしてしまいます。広告の設定変更、siteの表示不良、外部からのtraffic、広告system側のfilterを一つの原因へまとめると、次に何を直せばよいかが分かりません。無効clickの疑いを持つことと、特定の攻撃を断定することを分けます。
最初の一週間は、数字を見て毎日設定を変えるより、比較に必要な記録をそろえる期間にします。緊急に止める理由がないなら、同じ条件でどの数字が動いたかを確認します。変更が必要なら、一度に一つにし、変更前の値と理由を残します。広告の数字を説明できる状態ができてから、入札やkeywordを見直します。
最初の一手は、clickが増えた一週間について、広告accountで変えた条件とsite側で見た問い合わせを一枚に並べることです。原因を急いで名付けず、比べられる記録を先に残します。
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