WordPressのバックアップは何を保存する?復旧できる状態まで決める
公開日: 執筆:佐藤
WordPressのバックアップは、保存ファイルが一つあれば完了ではありません。データベースとサイトのファイルを対象にし、いつの状態へ戻せるか、誰が復旧するか、実際に戻せることをどう確かめるかまで決めます。
自動で保存する仕組みを入れても、対象が不足し、保存先へ入れず、復旧方法が分からなければ、サイトは戻りません。「バックアップを取る作業」と「事業に必要な状態へ戻す責任」を分けます。
データベースとサイトのファイルを分ける
WordPressの公式文書は、WordPressサイトとWordPressデータベースを分けてバックアップするよう案内しています。データベースには、投稿、コメント、リンクなどが保存されると説明しています。
一方、データベースのコピーだけでは、サイト上のすべてのファイルを保存したことにはなりません。画像などのアップロードしたファイル、表示に使うテーマ、追加したプログラム、設定に必要なファイルも、復旧範囲に応じて確認します。
最初に、二つの対象を一組にして記録します。
| 対象 | 失われると困るもの | 確認すること |
|---|---|---|
| データベース | 投稿、コメント、リンクなど | どのデータベースを、どの時点で保存したか |
| サイトのファイル | 画像、テーマ、追加したプログラム、設定ファイルなど | どのフォルダーとファイルを保存したか |
実際の構成は、設置方法と追加機能によって異なります。「WordPress一式」という名前だけで判断せず、制作会社またはサーバー管理者へ、保存対象を確認してください。
頻度は、失ってよい期間から決める
バックアップの頻度に、すべてのサイトへ共通する正解はありません。更新が月に一度の会社案内と、毎日情報が増えるサイトでは、失われる内容が違います。
先に、「障害が起きたとき、いつの状態まで戻れれば業務を続けられるか」を決めます。前日までか、前週までか、最後に大きな変更をする直前か。失ってよい期間が短いほど、保存する間隔も短くなります。
WordPressの公式文書は、データベースを定期的に保存し、更新作業の前にも保存するよう勧めています。通常の定期保存と、大きな変更の直前に取る保存は、目的が違います。
- 定期保存:日々または定期的に増える情報を戻すため
- 変更前の保存:変更による不具合が起きたとき、直前の状態へ戻すため
更新回数だけでなく、失った情報を作り直す時間と、停止中の影響を見て頻度を決めます。
保存先を、本番サイトだけに置かない
本番サイトと同じサーバーの中だけにバックアップを置くと、そのサーバーへ入れない障害では、バックアップにも届かないおそれがあります。
米国国立標準技術研究所の緊急時対応資料は、バックアップの保管場所で機密性と完全性を守り、代替保管場所を用意する考え方を示しています。連邦政府の情報システム向けであり、小規模な会社ホームページへ義務を課すものではありません。ここでは、本番環境と同じ障害で失わない保管先を考える参考に限って使います。
少なくとも一つは、本番サイトとは別の場所へ保存します。ただし、別の場所なら安全とは限りません。保存先へ入れる人、認証情報の保管方法、保存データを読める人、契約終了時の受け取り方法も決めます。
制作会社やサーバー会社が保存する場合は、次の条件を契約または回答で確認します。
- データベースとサイトのファイルのどちらが対象か
- どの間隔で保存し、何回分または何日分を残すか
- 障害時に、誰が復旧を依頼できるか
- データを自社または別の制作会社へ渡せるか
- 復旧に必要な費用と時間を、どの時点で確認できるか
「自動バックアップ付き」という名称だけでは、これらの条件は決まりません。
復旧確認をしなければ、使えるか分からない
保存処理の完了表示は、復旧の完了を示しません。ファイルが壊れていないか、必要な対象がそろっているか、復旧手順が現在の構成に合うかは、別に確認します。
NISTの同資料も、保存媒体の信頼性と情報の完全性を確かめるためにバックアップをテストし、選んだ機能の復元にサンプルを使う考え方を示しています。
本番サイトを突然上書きして試す必要はありません。制作会社または管理者と相談し、公開中のサイトに影響しない場所で、次の流れを確かめます。
- 復旧に使うデータベースとファイルを特定する
- 手順書と認証情報の保管場所を確認する
- 公開中のサイトとは別の環境へ戻す
- 主要なページ、画像、問い合わせ機能、管理画面を確認する
- 実施日、担当者、不足した対象、直した手順を記録する
これは説明用の基本手順です。実際の復旧操作と確認項目は、サーバー構成、WordPressの設定、追加機能によって変わります。
一枚の復旧表を作る
バックアップの運用は、次の項目を一枚へまとめます。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 戻す目標 | どの時点の、どの機能まで戻すか |
| 保存対象 | データベース、サイトのファイル、手順書 |
| 保存頻度 | 定期保存と、変更前の保存 |
| 保存先 | 本番環境内と、それとは別の保管場所 |
| 担当 | 保存を確認する人、復旧を判断する人、作業する人 |
| 確認 | 最後に復旧を試した日と結果 |
| 引き継ぎ | データ、手順、認証情報の受け渡し方法 |
まず、現在のバックアップについて、データベースとサイトのファイルが両方含まれるかを確認してください。次に、最後の保存日時と保存先を書きます。答えられない欄が、制作会社またはサーバー会社へ最初に確認する項目です。
バックアップは、事故が起きるまで成果が見えにくい作業です。だからこそ、「取っている」という返事で終えず、戻す対象、許容できる損失、担当、確認結果を記録します。
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