• リスティング広告の検索語句レポートは登録キーワードと実際の検索を分けて読む

リスティング広告の検索語句レポートは登録キーワードと実際の検索を分けて読む

公開日: 執筆:佐藤

リスティング広告を見直すときは、登録したキーワードだけでなく、実際に検索した人が使った語句を確認します。登録キーワードは、広告主が指定した配信条件です。検索語句は、検索した人が入力した言葉です。二つを同じものとして扱うと、何を求めた人へ広告が出たのかを見失います。

検索語句レポートでは、語句をすぐ設定変更へ結び付けず、「対象外」「新しい疑問」「広告とのずれ」の三つに分けます。変更する場合は、判断理由、決めた人、作業した人、確認日を残します。レポートを開くことではなく、次の判断を再確認できる状態にすることが目的です。

ここでは、Google AdWordsの検索連動型広告を扱います。英語版公式資料には、Search Query Performance report、Search Query Report、See Search Terms Reportという表記があります。この記事では、検索した人が入力した言葉を「検索語句」、それを確認するレポートを「検索語句レポート」と呼びます。

登録キーワードは条件、検索語句は実際の言葉

広告主が登録したキーワードと、検索した人の言葉には、次の違いがあります。

対象 決める人 確認できること それだけでは分からないこと
登録キーワード 広告主または運用担当者 広告表示の候補を決めるために登録した言葉 検索した人が実際に入力した言葉
検索語句 検索した人 レポートの表示対象になった、実際の言葉 その人が問い合わせや注文へ進んだ理由
広告文 広告主または制作担当者 検索した人へ何を案内し、何を約束したか その約束が事業の受付条件と一致しているか

登録キーワードが同じでも、検索語句は一つとは限りません。また、レポートへ現れた検索語句を、そのまま新しいキーワードとして登録すべきとも限りません。検索語句は判断材料であり、設定変更の命令ではないからです。

マッチタイプが検索語句の範囲へどう影響するかは、別の記事で扱います。本稿では、照合の仕組みを説明するのではなく、レポートに現れた言葉を事業上の判断へ変える方法に絞ります。

最初は、一つの広告グループに範囲を絞る

検索語句を確認する操作手順では、Keywordsタブで対象キーワードを選び、See search terms、Selectedの順に進みます。表示される一覧には、選んだキーワードで広告表示へつながった検索語句と、クリック率やコンバージョン率などの指標が含まれます。

検索語句レポートのダウンロード手順では、KeywordsタブのSee search termsから検索を確認し、表をダウンロードできます。Googleは2010年6月、AdWordsレポートの変更を発表し、検索語句などのレポートをCampaignsタブへ移しました。ダウンロードの予約や電子メール送信も、管理画面から行えるようになりました。AdWordsレポートの公式講習でも、See Search Terms Reportを四つの主要レポートの一つに挙げています。

ただし、日本語管理画面での表記や操作位置は確認できていません。画面名を探し回るより、利用中の管理画面で、対象キーワードから実際の検索語句を確認できる表示を探してください。

最初の確認範囲は、一つの広告グループに絞ります。期間も先に決めます。複数の商品、地域、広告グループを一つの表へ混ぜると、同じ検索語句でも対象か対象外かが変わるためです。

変更前に、次の状態を保存します。

  • 確認期間
  • キャンペーンと広告グループ
  • 対象として選んだ登録キーワード
  • 検索語句と、表示されている掲載結果の指標
  • その期間に使っていた広告文

一覧を保存した時点では、設定を変えません。先に検索語句の意味と、事業の受付条件を照らし合わせます。

検索語句から、三つのずれを見つける

次は、判断方法を示すための完全な仮例です。実在する事業者、顧客、広告、検索回数、掲載結果ではありません。

法人向けに、オフィスチェアの訪問修理を受け付ける事業を考えます。機構部の修理には対応しますが、部品だけの通信販売と、布地の張り替えには対応しないものとします。修理中には代替用の椅子を貸し出せますが、その案内は広告にも移動先ページにも書かれていない、と仮定します。

登録キーワードは「オフィスチェア 修理」です。検索語句レポートに、次の言葉が現れたとします。

検索語句の仮例 主な分類 先に確認すること
オフィスチェア 部品 通販 対象外 部品販売を本当に受け付けていないか
オフィスチェア 修理 代替椅子 新しい疑問 貸し出し条件を広告や案内ページで説明できるか
オフィスチェア 張り替え 修理 広告とのずれ 「修理」という広告の約束が、対応範囲を広く見せていないか

対象外は、受付条件で決める

「部品 通販」は、仮例の事業では対象外です。ただし、語句を見つけた担当者の印象だけで決めません。部品販売を受け付けていないという事業上の条件を、責任者が確認します。

対象外と確認できた後の除外方法は、除外キーワードの記事で扱います。本稿では、対象外の理由と決定者を記録するところまでに留めます。

新しい疑問は、提供事実を確かめる

「代替椅子」は、広告主が想定していなかったとしても、仮例の事業では案内できる内容です。この検索語句は、新しいサービスを作れという指示ではありません。すでに提供している条件を、検索した人が知りたがっている可能性を示す材料です。

まず、貸し出しの対象、期間、費用、数量を事業側で確認します。事実を説明できる場合だけ、キーワード、広告、移動先ページのどこへ反映するかを決めます。提供していない内容を、検索されたという理由だけで広告へ加えてはいけません。

広告とのずれは、約束の範囲を見直す

仮例の広告が「オフィスチェアの修理」とだけ案内していれば、張り替えまで頼めると受け取る人がいても不自然ではありません。検索語句と提供範囲がずれた原因は、キーワードの広さだけとは限りません。広告の約束が広すぎる場合もあります。

このとき、検索語句を対象外にする判断と、広告の表現を狭める判断を分けます。どちらを変えるかは、実際の受付範囲を確認してから決めます。広告文の具体的な作り方は別の記事へ譲り、本稿では、どの語句と約束がずれたかを記録します。

一件の検索語句から、成果を決めつけない

提供していない商品を求める検索語句で、一件のクリックが確認できる場合があります。その一件は、検索と受付条件のずれを見直す材料になります。ただし、キーワード全体の成果や検索需要までは判断できません。

検索語句レポートの運用案内は、一件、二件のクリックだけで設定を細かく変えず、表示回数やクリック数の多い語句へ注目するよう勧めています。別の検索クエリレポートに関する公式案内も、掲載結果を判断するときは、頻度が高く、十分なデータがある語句へ重点を置くよう説明しています。

ここでは、意味の判断と、掲載結果の判断を分けます。

  • 意味の判断:提供内容に合うか。検索した人の疑問と広告の約束が合うか。
  • 掲載結果の判断:同じ期間と対象で、表示回数、クリック、設定した成果を比べられるか。

意味が明らかに対象外でも、すぐに広い範囲を除外すると、必要な検索まで止める場合があります。掲載結果が少ない語句でも、検索した人が知りたい条件を表している場合があります。意味と数字を一つの評価へまとめないでください。

レポートは、検索需要の全件表ではない

Googleは2009年5月、Search Query Performance reportの拡張を発表しました。クリックにつながった検索のうち、利用者が参照元URLを遮断していない検索クエリをすべて表示すると説明しています。拡張前には、広告表示へつながる回数の少ない語句がother unique queriesという一項目へまとめられていたとも記されています。

したがって、検索語句レポートを、検索された言葉の全件表として扱ってはいけません。少なくとも、この公式説明では、個別表示の対象にクリックと参照元URLという条件があります。レポートにない言葉を「検索されていない」とは断定できません。

また、コンバージョン率が表示されても、計測設定がなければ、問い合わせや注文の判断には使えません。計測していても、送信完了と有効な問い合わせは同じではありません。検索語句の意味を読む仕事と、クリック後の成果を確かめる仕事を分けます。

変更記録には、判断と作業を分けて残す

検索語句を確認した後は、設定を変えなかった場合も記録を残します。保留した理由が残っていれば、次回、同じ議論を最初から繰り返さずに済みます。

記録項目 書く内容
確認条件 期間、キャンペーン、広告グループ、対象キーワード
観察した事実 検索語句と、管理画面に表示された指標
事業上の判断 対象外、新しい疑問、広告とのずれ、保留のいずれか
判断根拠 提供内容、受付条件、広告で示した約束
決定 変更しない、別途確認する、設定変更を承認する
責任 判断者、作業者、確認者、実施日、次回確認日

事業責任者は、何を受け付けるかを決めます。運用担当者は、レポートを保存し、判断候補を整理します。広告やページの担当者は、承認された範囲だけを変更します。確認者は、変更理由と影響範囲を見ます。一人が複数の役割を担当しても構いませんが、どの立場で決めたかは残します。

運用を外部へ委託しても、事業上の対象を決める責任まで自動では移りません。事業者側が、検索語句、判断理由、変更内容を確認できる方法を決めます。アカウントの権限や記録の引き渡し条件は契約ごとに異なるため、実際の設定と契約で確認してください。

最初の一手は、一つの広告グループについて、期間を決めて検索語句の表を保存することです。表示回数とクリック数を見て優先する語句を選び、「対象外」「新しい疑問」「広告とのずれ」「保留」へ分けて、根拠を書いてください。

戻る