• 有料記事のFlexible Samplingは無料で読む範囲と課金する価値を先に分ける

有料記事のFlexible Samplingは無料で読む範囲と課金する価値を先に分ける

公開日: 執筆:佐藤

有料記事を検索から読んでもらうなら、全文を隠すか、検索だけには全文を見せるかの二択にしません。まず、検索から来た読者が無料で確かめられる内容と、継続して読む人へ有料で渡す内容を分けます。Flexible Samplingは、その境目を事業者が試せるようにする考え方です。無料部分の量だけを決める前に、何を読めば購読する理由が分かるのかを決めます。

Googleは10月2日、First Click FreeをSearchの必須条件から外し、Flexible Samplingを案内しました。有料記事を読む回数に上限を設けるmeteringと、記事の一部を見せるlead-inが代表的な方法です。どちらを使うにしても、検索結果で期待させた内容と、読者が最初に読める内容を食い違わせないことが先です。

無料の入口と有料で渡す内容を同じ記事の中で分ける

有料化は、本文の途中に壁を置けば済む仕事ではありません。読者は検索結果を見て、疑問へ答えてくれる記事かを確かめようとします。最初の数段落に見出しだけを並べ、結論も条件も示さないまま登録画面へ進ませても、何に対して料金を払うのかが分かりません。一方で、無料部分だけで個別の判断まで終わるなら、有料部分に何を残すかが曖昧になります。

たとえば、会員向けに制作の手順を扱う記事なら、無料部分では対象になる作業、判断を誤りやすい条件、記事全体で答える問いを示します。有料部分では、判断の根拠になる資料、比較の順序、作業を引き継ぐときの記録、個別条件に応じた確認方法を渡します。無料部分は広告文のように興味だけを引く場所ではありません。読者がこの記事を読む意味を確かめる場所です。

反対に、毎回ほぼ同じ前置きだけを無料にして、検索語に対応する答えを有料部分へ隠す形は避けます。たとえば「WordPressの更新手順」というtitleで、無料部分には更新が重要だという説明しかなく、必要な確認をすべて登録後に置くと、検索した人は期待した内容へ届きません。課金する範囲を守ることと、検索から来た人を迷わせることは別です。

有料部分へ置く内容も、記事ごとに決めます。速報を読むための会員制、継続して使う資料集、専門家へ質問できる窓口、編集部の解説では、読者が支払う理由が違います。記事を作る人、会員を管理する人、問い合わせを受ける人が別なら、どこからが有料かだけでなく、誰が内容と利用者情報を更新するかも決めます。決済serviceや会員pluginを導入することは、記事の価値や会員情報の管理責任を引き受けることとは別です。

meteringとlead-inは読者の行動に合わせて選ぶ

meteringは、読者が一定数の記事を読んだ後で課金の壁を出す方法です。毎日少数の記事だけを読ませるより、月ごとに読む本数を数える方が、読者が記事の価値を確かめる余地を作りやすいとGoogleは案内しています。Googleは始め方の目安として、検索利用者へ月10 clickを示しています。ただし、これはすべてのsiteに同じ数字を当てはめる指示ではありません。

日々のニュースを読む人と、年に数回だけ契約条件を調べる人では、読む頻度も必要な記事数も違います。meteringを使うなら、無料で読める回数、数える期間、loginしていない読者をどう扱うか、上限に達した後に何を案内するかを決めます。上限に達した人を登録画面へ送るなら、料金、利用期間、解約方法、問い合わせ先が読める状態にします。読ませた回数だけを見て、購読の判断を急がせません。

lead-inは、記事の冒頭や必要な部分を見せ、全文は会員へ渡す方法です。Googleは、数文または50から100 wordほどを例に挙げています。この範囲も固定の正解ではありません。記事の結論を先に示すのか、前提だけを示すのか、資料の一覧を見せるのかで、読者が確かめられることが変わります。短く切れば有料化が強くなるわけではありません。

説明用の仮例として、法改正を扱う会員記事を考えます。無料部分では、いつから何が変わるのか、誰が影響を受けるのか、記事が扱う範囲を示します。有料部分では、条文を確認する順序、既存の契約や画面をどこまで見直すか、社内で誰が判断するかを扱います。無料部分を読んだ人が自分に関係するかを確かめられ、有料部分で実務の確認を続けられるなら、壁の前後の役割が分かれます。

検索robotへ出す内容と読者へ出す内容を同じに考えない

有料記事では、検索robotと読者の画面が違うため、cloakingとの区別が必要になります。Googleは、有料の壁があるpageへ新しい構造化データを付けるよう強く勧めています。検索robotへ関係のない内容を見せ、読者には別の広告や別pageを見せる行為と、有料記事の読み取り範囲を分ける仕組みは同じではありません。しかし、仕組みを説明できなければ、外からは区別しにくくなります。

ここで必要なのは、検索だけへ全文を見せる設定を増やすことではありません。無料部分、有料部分、登録後に見える内容を記事ごとに記録し、構造化データもその状態に合わせます。article本文を更新したのに壁の位置や説明文だけが古いままなら、検索結果、公開画面、会員画面が食い違います。編集者が本文を替え、制作側がmarkupを替え、会員管理側が購入状態を扱うなら、公開前に三者で同じpageを確認します。

構造化データは検索表示を増やす飾りではありません。読者へ何を見せているかをsearch engineへ伝えるための情報です。markupを付けたから有料記事が検索で有利になる、と決めません。title、description、無料で読める本文、購入後に読める内容、課金画面の案内が一つの説明になっているかを確認します。

最初は一種類の記事で読者の行動を確かめる

全記事を一度に有料化すると、何が読まれ、どこで登録をやめたのかを分けて見られません。まずは役割が近い記事を一種類選び、無料部分と有料部分を決めます。次に、検索結果から来た人が読むpage、上限へ達したときのpage、登録画面、購入後のpageを順に開きます。読者が迷う場所があれば、料金表示だけでなく、無料部分で渡す説明や記事への導線を見直します。

確認する数字も分けます。無料記事の閲覧数、壁が表示された回数、登録画面を開いた回数、購読まで進んだ回数、解約や問い合わせの内容は、同じ意味ではありません。閲覧数が増えても、記事を求めていない人ばかりを集めているなら購読の判断には使えません。登録数が増えても、内容や料金の説明が不足して解約が増えるなら、無料部分と有料部分の分け方を見直します。

最初の一手は、有料にする記事を一つ選び、その記事で無料に渡す結論、課金後に渡す資料や判断、読者へ説明する料金と利用条件を書き出すことです。Flexible Samplingは、壁を高くするための設定ではありません。検索から来た読者が価値を確かめ、必要なら継続して読めるように、記事と会員制の役割を分ける方法です。

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